第十六話「パーフェクトガンダムVS紅椿」
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「あーあ……」
宿場での夕食を食べている中、僕はしょんぼりしていた。なにせ、宿場はどこぞのサラリーマンが止まる一般的なビジネスホテルであり、出る食事は無くてコンビニで買って来たものを食べるばかりだ。
「ふむ、さすがは私が作ったパーフェクトガンダムだ! 予想以上のデータがとれたぞ!?」
データの書類を見ながら、缶ビールを片手にご機嫌な父さん。そんな父さんの後ろではベッドに座りながら弁当を食べる僕が居た。
父さんいわく、仕事だから当然なのだ。当然なのだが……
――今頃、一夏たちは旅館で海鮮の御馳走をたべてるころだろうな……?
それに比べて、僕の夕飯は弁当にサンドイッチと緑茶、デザートにプリンだ。
「どうした? アムロ、浮かない顔をして……」
そんな僕に気づいたのか、父さんは僕の方へ振り向いた。
「いや……別に何でもないよ?」
父さんと一緒に居られる貴重な時間だから、雰囲気を壊したら行けないかと思った。けど、父さんは相変わらず僕と会話をする様子なんてなさそうだ……
「……アムロ、やっぱり私と来たのは嫌だったか?」
「え?」
父さんはそう寂し気に言った。図星を突かれた僕は、どういえばいいのか選ぶ言葉を失う。
「まぁ……こんな、仕事にしか己を見いだせない父親だから、お前や母さんには申し訳ないことをしたと思ってるよ」
「父さん、酔ったのか?」
僕は、そう父の顔を見た。やや顔が赤くなっているも、父さんは真顔であった。
「私は、いつも仕事で忙しいから参観日や運動会、遊園地へ連れていくにもみんな母さんが連れて行ったな? 私は、そのころ職場で設計図と睨めっこしていたさ……」
「……」
僕は、そんな嶺テムという父親を目に、前々から聞きたいことを訊ねた。
「……ねぇ? どうして、父さんはこの仕事を選んだの?」
MS技師、確かに憧れを抱かれる仕事でもあるが大抵こういうことに励む人間と来たら変人が多い。もちろん、父さんは変人だ。しかし、ある一面では父親らしい素振りをしないこともなくはない。
「ハハハ、『好きだから』っていうのは理由にならんか?」
「うん」
「そうか……そうだなぁ?」
父さんは、缶ビールを台の上に置いて天井を見た。そして過去を振り返るかのように僕へこう話す。
「……昔、尊敬してくれた同僚がいてな。いつも一緒に研究や開発に没頭してくれたのさ? だが、そんな彼……彼女とは、ある日を境に私とは違う道を歩んでしまったのだ」
「どんな道?」
「それは……おっと!」
ふと、父さんは天井際につけられた時計を見た後、自分の腕時計もみた。
「もう、こんな時間か? アムロ、今日はもう遅いんだ。明日に備えてはやく休みなさい?」
父さんは、すぐに布団の中へ入ってしまった。
「う、うん……」
――父さんと一緒に働いていた同僚の人、誰
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