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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第637話】
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に居たんですよ。 あの時、引き上げた黒い機体の後に白騎士を止めてくれたでしょ?」


 政府の発表では一夏率いる専用機持ち、見ていた人も黒い機体だけの印象でドイツのラウラだと判断していたが近くでそれを目撃していた二人は違ったのだ。

 ヒルトは答えなかった――娘の頭を撫でる母親は言葉を続ける。


「世間では織斑一夏くんがって言ってますけど、私達二人は少なくとも貴方があの事態を収拾したと思っています。 ――だから、ありがとう有坂くん、京都を守ってくれて。 それじゃあ行きましょうか」

「うん♪ ありがとう、おにいちゃん♪」


 完全に不意打ちだった、瞳から溢れ出る涙は止まらない――人目も憚らず嗚咽を漏らし泣くヒルト、大の男が泣いているのだから何が起きたのか見る人々。


「あれって有坂ヒルト? 何で泣いてんの?」

「さあ? ……てかこんなところで泣くなんてフラれでもしたのか?」

「うわぁ、可哀想〜。 てか写メ撮っとこ」

「止めとけって早百合」


 注意する彼氏を他所にヒルトの泣く姿を撮ろうとする彼女。

 そんな時だった。


「あ! 外に織斑一夏さんが居ますよぉ!」

「え? ウソウソ!? 織斑一夏どこ!?」

「ちょ、ちょっと早百合!?」


 瞬く間に伝染する一夏が二条城にいる発言で中はヒルトと気をそらした子だけになる。

 ソフィー・ヴォルナートだった、地面に突っ伏して泣きじゃくるヒルトに近付くソフィー。


「ヒルトさん……」

「うっ……うっく……」

「大丈夫ですよぉ! ヒルトさんには、美冬さんや美春さん、未来さんも居ますし。 頼りないですけど、私も居ますから!」


 慈しむ様に泣きじゃくるヒルトを見つめ、そっと頭を抱くソフィー。


「ヒルトさん、皆が着いてますよ。 だから……一人で全てを抱え込まないで? 私でよかったら、いつでも話訊きますから」

「……ッ。 う……うん……ッ……うっく……」


 涙はソフィーの制服を濡らしていく、だがソフィーは気にすることなくヒルトの頭を撫でる。

 亡き祖母が自分にそうしてくれたように、ソフィーもヒルトに優しく接した。

 暫く泣き続けたヒルト、泣き止んだ頃には二条城内はまた観光客で溢れていてヒルトとソフィーは外で休んでいた。

 赤い瞳が涙の影響でさらに赤くなっていた。


「ヒルトさん、落ち着きました?」

「あ、あぁ。 ……ありがとうな、ソフィー」

「えへへ、気にしないでください♪ 男の子でも辛いときは泣くものだっておばあちゃんが言ってましたから! ……私に出来る事ってあれぐらいですけどね」


 眉根を下げ、頬を掻くソフィー――立ち上がる
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