第19話『剣の時代が終わる時〜ナヴァール騎士団全滅!?』【Bパート 】
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聖剣の刀匠は知らない。
知っているのは――『銃』は人が産出した悪だということ。
そして、人の手で作り出した兵器が、同胞である人に向けて放たれている。
一兵たりとも残さず塵芥に返す。それを実行するのは可能かもしれない。
何を馬鹿な?
そんな非現実的な妄想などあってたまるか。
彼らは逆星は知っているのだろうか?
いまだ罪を知らぬもの。そして罪を既に犯したもの。罪を自覚せぬもの。
―――人こそが、罪そのものなのだろうか?
鉄剣を取る『手』が悪なのか?
弓弦を引く『爪』が悪なのか?
それとも引金を引く『指』が?
『断罪の女神――デュランダル』
無知なる今の時代が犯した愚行に対し……我ら幼子に贖罪の機会を与えたまえ――
許されるなら、『断罪の剛剣』と成りて剣の時代の最後を飾らんことを――
「殲滅する!『逆星』を!」
ロランの正義に悲しみが充たされ、瞳に涙があふれだす。
騎士の誇り高き『流星』――
戦友ともいえる甲冑から、デュランダルから光がこぼたれて――
――『不敗』。その言葉が偽りと化すとき、守ろうとした大切な者を守れなくなる。
故に――彼らは負けることを許されない。絶対に負けられない。誰にも。
不思議なことに、『金色の髪をなびかせる女神』の光景が、ロランの頭をよぎった。
その女神は、古の時代にて『接触禁止の女王』とも『デュランダル=オブ=アンリミテッド』とも呼ばれていたそうな。
ナヴァール騎士団最後の陣形――その名は『流星』
ストライクと呼ばれる突撃戦法。
儚くも雄々しい一条の『星』に、テナルディエ全軍は目を奪われた。
瞬く間に銀の逆星軍の表面を食い破り、心臓部たる魔王へ一直線に突き進む。
しかし、そのような騎士の時代最後の『奇跡』に対し、姑息なグレアストが割って入る。
「この瞬間を待っていた!!」
一条の槍たる陣形――『流星』を砕く咎人が愉悦を浮かべる。
黒い光 を放つ、重厚感のみを追求した機械仕掛けの、開戦前にオリビエが口にしたあの『乳母車』――
その名は――――回転式蜂巣砲――――
『ジュウ』と比較にならぬほどの……『蜂の雲梯』が解き放たれる!
一列に横並びされた『蜂巣砲』が――騎士団の脇腹を食らいつく!
最悪だ。ロランの脳裏によぎった、たった一言――
奴がそこまでとは思わず、兵器に頼る小物と見なした己が手落ちだ。
あの時、『三日月』というオリビエの進言を聞き入れていれば――
だが、どれほど後悔しようと時すでに遅し。
足を撃ち抜く鉛玉に、止まるロランは無念の死を覚悟する―
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