第六話 バルバトス
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から離れろ」
とんでもない事を言ってきた。
「離れろって、モビルアーマーを倒さないと」
「いいから離れろ。ソイツは危険だ」
危険。確かに、アイツは危険だ。
モビルアーマーを単機で相手をしている。それも有利なアドバンテージを使わず、己の技量とモビルスーツの性能でだ。
モビルアーマーは巨体故、俊敏な動きを苦手とする。
といっても、あの巨体であれだけの動きをするモビルアーマーは異常だ。だが、それでも小回りではモビルスーツに敵わない。
そこを付けば、俺一人でも勝てると……思ったけど。それだけじゃ勝てない。
もっと別の何かが必要だ。
そして、それをアイツは持っている。
モビルアーマーを攻撃を全て回避し攻撃するガンダムフレーム。
そこまでは俺と同じだ。
だが、決定的に何かが違う。
機体の性能?
それもある。
実力の差?
それもあるだろう。
でも、違う。
なんだ?
俺とは決定的に違うのに解らない。
「ぁぁ────なら、」
バルバトスはガンダムフレームに突っ込んだ。
「おい!?」
「ジキールは離れてて、ここは俺が、なんとかするから」
滑空砲を構えながら更に加速する。
動きながらだと銃身がズレるな。それを計算しながら照準を合わせないと。
まずは、一発。
滑空砲の銃身から弾丸が放たれる。
だが、それはモビルアーマーの頭部を掠めて飛んでいった。
モビルアーマーの頭部中央を狙ったつもりだけど結構ズレたな。今度はもっとよく狙おう。
二射目。それは、モビルアーマーの頭部に命中した。モビルアーマーの動きが鈍る。ガンダムフレームのモビルスーツはその隙を逃さない。両手の双剣でモビルアーマーの尾を斬り裂いた。
一刀両断とは正にこの事だろう。
尻尾の先端は綺麗に切れた。 「────────────────」
またしても、この声。
バルバトスは動きを止める。
「バルバトス、動け」
一瞬だけ動きを止めたバルバトスはすぐに稼働を再開した。
そうか、やっぱりそうなんだ。
さっき、動きを止めたのは俺の不調じゃない。
「原因は……お前か、バルバトス」
バルバトスは応えない。
まぁ、当然だ。モビルスーツが喋れる訳ない。
「バルバトス、お前。
アイツの声が嫌いなのか?」
バルバトスは応えない。
「じゃあ、好きなの?」
バルバトスは応えない。
コイツはモビルスーツだ。応えなんて返ってくる訳ない。でも、なんでだろ。
「バルバトス、」
バルバトスは応えない。
「いいから、応えろよ」
直後、バルバトスは動きを止めた。
「なぁ、お前はアイツが嫌いなのか?」
バルバトスは答えない。
「応えろよ」
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