暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
番外編 第3話 『大好き』
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々な情報(データ)が流れ続けていた。
それも極めて膨大な量。

 リュウキの持っている力。それは この世界で言えば神域とまで言っていい全て視通す眼。それは完璧な情報把握能力。些細な情報も眼の届く範囲は決して視逃さない程の精巧さ。
 
 それらは デジタルデータの流れ、或いは電子の流れまでも視てしまう為 キリト達が羨む通り、殆ど反則的(チート)な力。だが この時ばかりは裏目に出てしまったと言わざるを得ないだろう。
 何故なら、あまりに膨大なデータが眼を通して頭の中に流れ込んでしまったからだ。よく視え過ぎる為故に、眼を媒介に叩きこまれ、頭の中ではその奔流に飲み込まれてしまった。

 その大きな波は、リュウキの意識をも刈り取られようとしている。

「っ、ぁ……! ぐっ……!!」
「リュウキっ! リュウキっっ!!」

 シノンは 剣を放り捨ててリュウキの両肩を掴んだ。
 間違いなく自分のせいで、こうなってしまったと思っているから。

「しん、ぱい…… するな……。ほん、らいは こう……なったら 直ぐ……意識、なくなる筈……。おれが、……わる……っ」

 リュウキの視界が完全に膨大なデータの流れに飲み込まれシノンの顔を見る事も出来なくなった。

「わるい………しのん…… てつだえない。……まか、せた」

 それを最後に、リュウキの身体は糸の切れた人形の様に崩れ落ちたのだった。












――ここは、圏内の筈だ。ましてやこの世界はALO。安全なゲームの世界の筈なのにっ。


 シノンは倒れているリュウキを抱え起こして ただ只管考え続けていた。
 剣をリュウキに当ててしまったから、こうなったのは間違いない。そして 自分が……自分の卑しい願望のせいで リュウキを 大切な人を……、大好きな人をこんな目に合せてしまった、と深い罪悪感で今度はシノンが押し潰されそうになってしまっていた。

「ごめ、ごめんな……さい……。わたし、わたし……っ」

 シノンは、リュウキの手をぎゅっ と握りしめた。
 掴んでくれたのは、この優しい手だった。暖かく抱きしめてくれたのもこの優しい手だった。闇から私自身を解放してくれたのも、この手だった。

 それなのにあの時(・・・)みたいに―――。



 シノンは リュウキが言っていた言葉は完全に頭から失われてしまっていた。ただただ連想するのは、あの死銃事件の時の事。新川兄弟の襲撃の際に リュウキが怪我をしてしまった時の事だ。
 救急車で運ばれ、病院についても暫く動けなかったあの時の事。
 
 その為か、リュウキが言っていた言葉が完全に抜け落ちてしまっていたのだ。
『イベント』と言うものを。

 SAOの世界でも何万ものク
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