暁 〜小説投稿サイト〜
グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第94話:嘘は人の心を守り、真実は傷付ける。
[3/5]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
「そ、そうだなぁ……か、歌詞が良かったと思うよ」
ほらね!
「はっ! 何それ……それじゃぁ、身も蓋も無いうえ、底も浅いじゃない。何も乗ってない皿よ、それじゃ!」
上手いお姉様。でも正にそんな感じ。
「くっくっくっ……皿とは上手いですね義姉さん。まぁ見た目だけはズバ抜けて良いから、芸術性が高すぎて皿として使用できない皿って事かな?」
あ〜ぁ……ウルフ閣下までマリーちゃんの批判に入った。
「わ、私は既にデビューしてて、しかも結構な人気を得てるのよ! それを解ってて言ってるの?」
「解ってるわよ。だからウルフが言ったじゃない……芸術性が高いだけの皿だって(笑)」
つまり“
芸術性
(
見た目
)
だけで、
皿
(
歌唄い
)
として役に立たない”と言う事。
「
先刻
(
さっき
)
コリンズが言った感想をよく聞くんじゃないの? 皆も分かってるから誰も歌唱力については何も言わないのよ。大方アンタ達も難易度の低い曲ばかりを人々に聴かせてるんでしょ? 良い曲、良い歌詞、可愛い歌い手……真新しいし、文句を言わず見守っていてやろうって事じゃないのかしらね?」
お姉様のグゥの音も出ない物言いを受け、難しい曲を発表拒否してきた私に向き直り、ギロリと睨みを利かせるマリーちゃん。
私は何も言えない……何も言う訳にはいかない。だがそれこそが私の本音だと受け取って貰いたい。
そして今後の事を早急に決めて欲しい。
ヘソを曲げて『もう唄わない!』と言うのか、心を変えて『これからは猛練習する!』と頑張るのか、皆大嫌いって事で『このままで良いんだもん!』とコレまで通りのスタンスで行くか……
『もう唄わない!』と言ってくれれば私は解放されるだろう。
既に教わってある幾つかの素晴らしい楽曲を、私の方(マリーちゃん以外の人)で発表して良いのかウルフ閣下に確認しよう。出来る事なら発表したいけど、多分ダメと言われるだろう……まぁあの
娘
(
こ
)
から解放されるだけでも大助かりなので、文句は無い。
『これからは猛練習する!』だったら、あの
娘
(
こ
)
との付き合いが続くけど、良い楽曲を世間に発表出来るチャンスが大きいので、何とか我慢出来るだろう。
また我が儘言い始めたら、お姉様を呼んで貰えるようにウルフ閣下にお願いすれば良いのだし。
最悪なのは『このままで良いんだもん!』って選択肢だ。
意固地になって練習もせず、現状のままを世間に見せ続けるのであれば、私も我慢の限界だ。もう王家の恥とか関係ない……ガンガン高難易度の曲を彼女に歌わせて、世界中に恥を晒させてやるわ!
お姉様もウルフ閣下も指摘したのにも拘わらず、それでもなお音痴な歌声を世の中に轟かさせるのだから、私の責任にはならない。
……私の音楽家としての人生も終わるだろうけど、
我が儘女
(
マリーちゃん
)
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ