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最低で最高なクズ
ウィザード・トーナメント編 前編
彼は喧嘩を知らない
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よる洗脳が解けて、コントロールが効かなくなってしまう。


ナイフのように武器を召喚すれば武器には意識が存在しないため、コントロールの必要がない。それに召喚魔法で武器を召喚することでウィザード・トーナメントでの持ち物検査に掛かることがない。


何せ、魔法で武器を召喚しているのだ。ウィザード・トーナメントには「代償魔法を使うから」という理由で強力な武器を持ち込み、召喚魔法や属性魔法と持ち込んだ武器で戦うという卑怯な手を使う魔術士が毎年現れる。


それ故に武器を持ち込む魔術士は使う魔法をチェックされてから持ち込みの許可を受ける。俺の場合は武器そのものが俺の魔法でできているため、どれだけ強力な武器であろうが俺の魔法だ。故に反則にはならない。


「いつもいつも厄介な物を....逃げ足だけは流石ね。」

「魔法ならともかく体は鍛えてるんでな。」


紗友里は氷魔法で足元を凍らせる。次に炎魔法を発動。両手が炎を纏う。紗友里はスケートのように凍らせた地面を勢いよく滑っていく。俺が走る速度の数倍速い。挙句に紗友里が通過したあとは大木ですら完全に氷漬けにされてしまっていて足場がない。


紗友里自身は自分の氷魔法で凍結しないように炎魔法を用いて自分の周りの冷気を打ち消していた。こうして僅かな時間で自分の優位を作り出す。


「なら思う存分逃げるといいわ。もっともこの状況下で逃げられたらの話だけど。」


俺は紗友里を捉えると大木の上を飛び回りながら紗友里から離れようとする。だが紗友里が追い付くのは時間の問題だった。紗友里は頭上を飛び回る俺を見つけると、進行方向を予測して先回りを始める。


「ちっ、妙なところだけ頭働かせやがって。」

「座学もアンタには及ばなくてもそれなりの自信があるのよ。ただ追い掛けるだけじゃ済まないんだから。」


紗友里の顔が生き生きとし始める。どうやら序盤にあった緊張感がほぐれてきて、心に余裕が出始めたようだ。前から紗友里がスロースターターなことは理解していたし、故に紗友里の本領がこれから発揮されるのも俺は分かっていた。


「体も温まって来たことだし、第二ラウンドと行きましょうか。兄さん。」

「望むところではないが、受けて立ってやるよ。」

戦闘さらに激化する。
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