ウィザード・トーナメント編 前編
彼は喧嘩を知らない
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だがそれ以上に俺は紗友里の近接戦闘のヌルさに呆れていた。戦闘中にゼロ距離の相手の攻撃を目を閉じているなんて考えられない。俺からすればのどうして紗友里が序列3位なのかがさっぱり理解できないでいた。
「また私を妹扱い。私はまだ兄さんに届かないの?」
「被害者根性で俺に嘆かれようが知ったことじゃねぇーよ。お前は自分を過剰に評価し過ぎだ。相手の力量も測れないのに強者を語ろうとするな。」
「..............。」
紗友里は泣きそうになるが、涙を拭う。そして魔方陣を展開した。その魔法陣は雷が迸っていた。そう、これはマーリン学園でも数名しか使えないと言われる雷魔法だ。しかも見たところイザベルのそれよりも強力な魔法に見える。
「なら...今まで見せなかった魔法を見せてあげる。」
「なるほど。雷魔法も使えるのか。それなりに腕は磨いてきてるみたいだな。」
「行くわよ兄さん!」
紗友里は先ほどの戦闘スタイルとは打って変わって移動しながら瞬時に魔法を使うようになった。軽く触れるだけでも岩を砕く電撃がバチバチという音を放ちながら、俺の隠れる岩にも迫っていることが分かった。
(離れねぇーと消し飛ばされそうだな。)
俺が動くために一歩踏み出すと紗友里はその微量な音を感知する。すると冷気が漂う魔法陣を展開した。この雰囲気から分かると思うが発動したのは氷魔法だ。
「まずはそのすばしっこい足を捕らえる。」
「やべっ!」
紗友里が魔法陣に手を伸ばし、魔法陣に手をくぐらせると手が冷気を帯びる。そこ手を俺の隠れる岩に伸ばすと氷柱のようなものが伸び、岩に触れると瞬時にそれを氷で包み始める。
一瞬反応が遅れた俺は、全力で岩から離れようとしたが僅かに間に合わなかった。俺は足をとられる。そこに紗友里が辿り着いた。
「もう終わり?案外呆気ないわね。」
「ハハッ。まだ終わらせるわけねぇーだろ。」
俺は隠していた閃光弾を軽く放った。それは瞬時に炸裂し、目も開けられないほどの閃光が紗友里を襲う。紗友里は油断から閃光弾の閃光を少しだけ受けてしまい、俺はその間に足を抜いて逃げることに成功した。
戦闘は相手がギブアップもしくは行動不能になるまで少しの油断もしてはならない。これも紗友里に言い続けてきたわけだがどうやら学習が足りていないようだ。
俺は紗友里からそこそこ離れた森の中に隠れると召喚魔法を使う。俺が召喚したのは「ドラゴン」や「グリフィン」や「使い魔」などではなく「ナイフ」だ。俺が召喚するのは生物ではなく武器だ。
前にも言ったように生物は召喚中は魔法で常時意識をコントロールしなければならない。少しでも集中が乱れると魔法に
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