聖者の右腕V
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まれたルーン文字に流れ込んだ魔力が文字を呼び起こす。文字が集まって言葉を形作り、ただでさえ重いハンマーに重量増加のルーンを掛け、自分にも筋力増加の魔術を掛ける。
「だああああっ!潰れやがれぇっ??」
大きく振りかぶって横殴りにオイスタッハを打つ。
「がはっ??」
オイスタッハは半月斧の柄で受け止めようとしたが、予想以上な重さに耐えかねて、物理法則に逆らうことなく横向きの力に押されて数メートルその場を転がった。
「なるほど・・・あなたはルーン使いでもあるのですか。修行も楽では無かったでしょう」
「頼むからやめてくれ。トラウマがフラッシュバックしてきそうだ」
苦虫を噛み潰したような顔をして再度、ハンマーを構え直すアイン。対して、オイスタッハは。
「ルーン使いとあってはあなたとここでやり合いを続けるのは少々部が悪いようです。気が引けますがここは退きましょうか」
「ああ?そんな簡単に逃すとでも思ったか?」
「算段なしにこんな無謀はしませんよ。逃げ道は確保できていますからっ!」
オイスタッハが胸を張るように聖凱を突き出すと鎧の部分が輝き出し、アインの視界を閃光が覆った。
「ちっ!」
アインは咄嗟に目を瞑って腕で庇ったので無事ではあったが、オイスタッハは取り逃がしてしまったようだった。ついでに人工生命体の少女も回収して行ったのか姿が消えている。
「だぁーっ!明日は筋肉痛確定かよ!宣教師のヤロー覚えてやがれ」
ハンマーを量子化して泣き言と共にアインはその場に後ろから倒れ込んだ。足音が聞こえて寝転んだまま横を向くと意識の無い古城を支えながら歩く雪菜の姿が見えた。
「・・・これまたラブラブなこって」
ポツンと一言呟いたのだった。
〜1時間後〜
「ふーん。で、再生し始めたと」
「もう少し心配してください!死んだんですよ??」
「真祖だから問題ないだろ」
「そういう事じゃなくてこう、人としてもっと・・・!」
現在、研究所裏の公園でアインは雪菜から古城が死んで生き返り始めた経緯を聞いていた。予想どーりオイスタッハの仕業だったのであまり驚きもしなかったが。
「俺に人間性を求めるのはやめとけ。土台無理な話だ」
「あなたが魔族だから、ですか?」
「いんや、もっと別な理由だ。ていうか魔族なの気づいてたのな」
「それは・・・あんな高度から落ちて来て無事な人なんているわけありませんから。それに、先輩が吸血鬼だと見抜いた時点で人でない事はほぼ確定したようなものです」
「そうか。じゃあな。俺は先に離れるからそいつが目を覚ましたらこいつを適当に放り投げろ。俺のいる場所まで連れてってくれる」
「ちょ・・・!待ってください!」
雪菜の制止も聞かずに式神を1枚はらりと落として手を雑に振るだけしてアインはスタスタとそこから消えていってしまっ
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