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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第93話:人生、楽ありゃ苦もあるさ……でも苦労の方が多い気がする
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る距離なのだから、もっと事前に連絡があっても然るべきハズなのに……
そんな文句を微塵も表さないで佇んでいたのに、ウルフ閣下が申し訳なさそうに『無表情のところ申し訳ないけど、本当に先程決定した事柄なんだよ。君に伝えてるのも最短なんだよ』と言い訳してきました。
詳しく確認すると、ラインハットの王太子妃様……元グランバニアの王女様は魔法の天才で、古の超高位魔法のルーラを使用出来るそうです。
その為、思い立ったら直ぐに行動するらしく、本当は昨日の内に私達を観に来る勢いだったそうなんですが、流石にウルフ閣下が翌日にしてくれたみたいです。
幸か不幸か私達の噂はラインハットまで轟いており、マリーちゃんのお姉様も気になり、血族である事を利用して歌を聴きに来る事に決定した……
そういう事であればお聞かせする曲目も厳選しなければ大問題になるだろう。
何故ならばマリーちゃんの歌唱力で、姉とは言え現状は他国の王族に聴かせられる曲など限られてるからだ。
アップテンポで音程を外しても気付かれにくい曲……
そんな狭い選択肢を考えているとウルフ閣下が、
『スローテンポで凄く難易度の高い曲を厳選して披露してよ』
と、ぶっ飛んだ事を私にだけコッソリ仰ってきました。
何でそんなリスキーを飛び越えてデンジャーなチャレンジを敢行しなければならないのか困惑してると、意味ありげにウィンクをして私に何かを伝えようとするウルフ閣下。
昨晩は一晩中悩んでウィンクの意味を考え、今日の昼過ぎにようやく気付きました。
つまり……マリーちゃんのお姉様に彼女の下手さ加減を見せ付けて、説得して貰おうと考えているのだと思います……多分。
もし私の予測が間違っていれば大惨事になるのだけど、私は宰相閣下に言われたとおりの事をするだけ……その後の事までは責任持てません。
そんな訳でマリーちゃんから提供された“Everything”を披露しようと思います。
初めてマリーちゃんから教わった時は感動しすぎてトリップしちゃった曲。
でも彼女が歌ってくれた途端、その雑さに怒鳴りそうになった曲でもある。
私自身も凄く気に入ってる曲の為、一人でピアノ弾きながら歌ったりしてる曲だ。
だから何れは人々に披露したい曲ではあるのだけど、ボーカルの彼女が練習をしてくれず何時まで経っても披露出来る状態にならない。
私の耳にも周囲からの評判が聞こえてくるのだが、『歌詞が良い』とか『メロディーが素晴らしい』等言われてる……だけど誰一人として『歌唱力がある』的な評価は聞こえてこない。
学校(芸高校)の友達から等は、『何であんな下手くそと組んでるの?』と言われる始末。
断れる物なら断りたい気持ちで一杯だが、それが出来ないから『凄く可愛くて良い
娘
(
こ
)
なのよ』と言葉を濁して遣り
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