暁 〜小説投稿サイト〜
終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?赤き英雄
太陽の傾いたこの世界で
走る黒猫と灰色の少女
[8]
前話
[2]
次話
「どこの浮遊島から来たのかは知らねぇが、このへんはあまり徴無しの居心地ちのいい場所じゃねぇ。さっさと用件を済ませて帰りな。
港湾
(
こうわん
)
区画は向こうのほうだ」
道の
彼方
(
かなた
)
のほうを指し示して、
「治安が不安なら、引っ張ってってやろうか?」
「えと、その、そういうわけじゃない、けど」
カイトはそれなりに背が高くて、少女は
小柄
(
こがら
)
で、ついでにいまそこに載せたばかりの帽子のつばは大きくて、つまるところ少女の表情はあまりよく見えない。変装としては
完璧
(
かんぺき
)
だが、
互
(
たが
)
いの顔が見えないのでは、いまこの場におけるコミュニケーションには少々の問題がある。
「徴無しなの?」
「まあそんな感じだな」
フードの下で、うなずく。
「なんで徴無しが獣人の街にいるの? ここって浮遊大陸群(レグレ・エレ)西南部で一番風当たりが強い
浮遊島
(
しま
)
なんでしょう?」
「知り合いいるからかな……むしろ、それを知っているお前は何でここに来た?」
「それは……その」
口ごもる。
そこで
黙
(
だま
)
り込まれると、まるで自分が責めているかのような気になってしまう。聞こえないように小さく舌を打つと、「こっちだ」と先に歩き出す。
少女は、ついてこない。
「どうした、置いていくぞ?」
「あ、あのっ」
表情を半分帽子に
隠
(
かく
)
したまま、少女は必死な声で、
「いろいろしてくれて、ありがとう。
それと、いろいろ
迷惑
(
めいわく
)
をかけたこととか、ごめんなさい。
それから、その、こういうのって言えた立場じゃないとは思うんだけど、えと、」
「……あー」
がり、と頭を
掻
(
か
)
く。
「行きたいところがある、とかか?言ってみろ」
少女の表情が
輝
(
かがや
)
いたと思う。下半分しか見えないから、よくわからない。
[8]
前話
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ