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最低で最高なクズ
ウィザード・トーナメント編 前編
俺には2人の妹がいる
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「お兄ちゃん。こんな感じ?」

「おぉ。」


雛は石に炎魔法と氷魔法を宿して鉄に近い何かに石を変えていた。これは俺でも想像できなかった結果だ。やっぱり雛には純粋に魔術士の素質がある。あと10年もすれば紗友里よりももっと上等な魔術士になっているに違いない。


「流石だな雛は。」


俺が褒めると雛はキャッキャとばたつきながら喜ぶ。こんな無邪気な顔が見れるのもあと何年先までなんだろうか。数年後には雛に距離を取られることを考えるとなんとなく悲しくなった。


すると誰かがコンコンと俺の部屋のドアをノックする。だがこんな時間に俺の部屋に来る奴は雛を除けば一人しかいない。もう一人の妹の紗友里だ。


「ねぇ誠。私にも代償魔法のやり方を教えなさいよ。私にだってそれくらいの力はあるはずよ。」

「お前には無理だよ。全部の魔法は心の綺麗な人にしか使えねぇーの。お前みたいに性格の悪い奴には無理だろうから諦めるんだな。」


紗友里は雛とは違う。感覚ではなく理論が必要だ。逆で考えればやり方がちゃんと分かっているならば恐らくすべての魔法を使えると俺は思っている。


実際、紗友里が2種類の魔法を同時に使えるようになったのは俺が要領を教えたからだ。それも堅物の紗友里に教えるために俺はあの手この手を尽くして紗友里にコツを教えた。その過程で紗友里に魔法を教えるのは疲れると俺が判断したわけだ。


紗友里の魔法のコントロールは雛よりも秀でている。しかし、魔法に対する適性は雛のほうが圧倒的に高い。雛の魔法適性が紗友里の魔法コントロールとの差を埋めるどころか大きく差をつけてしまっているのだ。


「いつもそうやってはぐらかして.....もういいわ!アンタなんかいなくたって私にもできないわけじゃない。」


紗友里は拗ねてバンとキツくドアを閉めて自分の部屋に帰っていった。それを視線で見送ったあとに雛を見るとやけに顔が膨れていた。雛は怒っているのだ。


「お姉ちゃんをイジメるお兄ちゃんは嫌い!」

「うっ.......。」


雛の「嫌い」が俺の頭の中で録音された音声のように何度も何度もリプレイされる。雛はまだ純粋だ。それ故に善悪の区別が驚くほど単純で、思考としては「悪即斬」の新撰組と同じくらい容赦がない。


雛は一旦怒ると、それが解決するまでそこを動かない。このままだと雛は一晩中、俺の部屋に居座るわけだ。いくら可愛い妹とはいえ一晩中部屋に居座られるのは流石に俺も疲れる。


「分かったよ。紗友里のとこ行ってくるから...な?」

「雛も行く。」

「お....おう。」


かくして俺は正義のヒーローこと雛に、紗友里の部屋へ連行されることになったわけだ。そう、紗友里ならともかく
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