Side Story
少女怪盗と仮面の神父 46
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少女を。
殺した。
こんなの、両親と片足の子供を殺した、あの貴族と同じじゃないか。
マーシャルの心を壊した、あの男達と同じだ。
連中がしたことと、自分がしたことで、いったい何が違う?
連中と自分の、どこが違う?
私は 自分勝手な 人殺しだ……っ??
そこからの記憶は、大半が笑い顔で埋め尽くされている。
首から血を噴き出している少女が、笑いながら
『お前のせいで私は死んだ。私はお前に殺された』
と、何度も何度も歌う狂気の中で、ハウィスはひたすら謝り続けていた。
謝る以外には何も考えられず、何もできなかった。
しかし。
「……いたい?」
突然、少女の歌が言葉に変わり、熱を持つ指先が柔らかく額に触れた時。
ハウィスは驚きのあまり、飛び起きかけた。
そして、自分の頭の横にちょこんと座っている、小さな女の子の特徴的な虹彩を見て混乱し、困惑し、怯えた。
目の前で絶命した筈の少女が、何故か幼児の姿で、そこに居るのだ。
何も感じないほうがおかしい。
音にもならない悲鳴を上げて逃げ出そうと身動ぐハウィスを止めたのは、幼児を抱え上げて、にっこりと微笑む女性だった。
「不思議ね。貴女は、アルフィンに好かれているわ」
アルフィンが初対面の人に自分から手を伸ばしたのは、貴女が初めてよ。
私とグレンデルなんて、抱えるたびに大泣きされてたんだから。
うらやましいったらないわ。
ころころと軽い声で笑う女性にも驚き。
ますます恐慌の色を深めたハウィスだが。
「私はティルティア。この子は私の娘でアルフィンというの。ねえ。貴女、名前は何ていうの? 生まれは南方領? それとも中央領? 肌が白いし、北方領かしら。あ……でも確か、北方に住んでいたからって、肌が白いとは限らないのよね。雪焼けって言うんだっけ? 寒い地方で陽焼けするなんて意外よねぇ。そんな印象は全然ないのに」
ティルティアは、ハウィスの様子などお構いなしで話しかけてきた。
目を覚ました日も、次の日も、そのまた次の日も。
ハウィスの身の周りを世話してくれる人なら他にも居たのに。
何が楽しいというのか、ほとんど毎日ハウィスの世話と日常報告の為に、満面の笑顔を携えて現れる。
時々来ないと思えば雨の日で。
晴れた日には必ず、アルフィンと一緒に訪れた。
これは、罰……なのだろうか。
少女と同じ色合いの目を持つアルフィンを見るたびに、ハウィスの心臓はギリギリと嫌な音を立てて軋む。涙が溢れる。
酷い時は、目眩や意識混濁一歩手前の吐き気にも襲われる。なのに。
アルフィンは何も知らぬ顔で心配そうに「いたい?」と、ハウィスの額をそっと撫
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