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真田十勇士
巻ノ九十六 雑賀孫市その三

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「実はそれがしの為にです」
「真田殿がじゃな」
「こちらに連れて来てくれました」
「穴山殿と言えば十勇士随一の鉄砲と火薬の使い手」
 雑賀も知っていることだ。
「では」
「はい、雑賀殿のです」
「鉄砲と火薬の術をじゃな」
「ご教授して頂きたいのです」
「そしてじゃな」
 雑賀はその目を鋭くさせて言った。
「時が来れば」
「それは」
「いや、言わずとも良い」
 雑賀は微笑みそれはいいとした。
「別にな」
「左様ですか」
「わしも今では世捨て人じゃ」
 笑って言うのだった。
「だからな」
「それで、ですか」
「幕府も何も関係ない」
「それでは」
「わしでよければな」
 その穴山を見ての言葉だ。
「是非な」
「教えて頂けますか」
「うむ」
 快諾の返事だった。
「そうさせてもらおう」
「それでは」
「早速じゃ、ではこの庵に寝泊りしつつじゃ」
 そうしてというのだ。
「修行をしてもらう」
「わかりました」
「鉄砲も火薬も充分にある」
 こういったものもというのだ。
「だから安心せよ」
「左様ですか」
「ここから少し離れた場所に小屋があってな」
「その小屋にですな」
「そういったものが揃えてある、火薬もじゃ」
 それもというのだ。
「ふんだんにある、わし自身作ることも出来る」
「火薬もまた」
「作っておる」
「流石ですな」
「ははは、それは御主もであろう」
「はい、火薬はそれがしのものと言ってもいいもので」
「ならばじゃな」
「それがしもです」
 穴山自身も答えた。
「作れます」
「では同じじゃ」
「雑賀殿とですな」
「そうじゃ」 
 雑賀は笑ってだ、穴山に話した。
「生まれついての火薬使い、ではな」
「その火薬の使い方をですな」
「さらに授けようぞ」
「そうして頂けますか」
「これよりな、特に鉄砲じゃが」
 穴山が得意中の得意としているそれもというのだ、雑賀にしてもこれを使い信長に煮え湯を飲ませたことがある。
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