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ドリトル先生と悩める画家
第十二幕その六

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「だからお部屋や服、アクセサリーに気をつけると全く違うよ」
「明るくですね」
「そう、要するにね」
「そこまでは考えていませんでした」
 これまではとです、太田さんは先生に答えました。
「ですがこれからは」
「そうしたこともだね」
「やっていきます」
「そういうことでね、あと絵だけれど」 
 今度は太田さんのその絵を見て言いました。
「浮世絵の影響があるね」
「この大学の美術館で観ていた」
「うん、あれの影響があるね」
「自分でもそう思います」
「やっぱりそうだね」
「はい、浮世絵の鮮やかな配色を見ていて」
 そしてというのです。
「あらためていいなって思いまして」
「影響を受けたんだね」
「浮世絵はいいですね」
「うん、アバンギャルドだね」
 先生はも浮世絵について笑顔でお話しました。
「歌舞伎もそうだけれど」
「あの頃の日本の芸術はですね」
「アバンギャルドって言ってもいいしパンクと言ってもいい」
「そんなセンスですね」
「そう思うよ、あのセンスは素晴らしいよ」
 浮世絵や歌舞伎に見られる江戸時代の日本の芸術文化のそれはというのです、先生は笑顔で賞賛しています。
「あれだけの芸術を見ていると」
「影響を受けるのもですね」
「当然だしそしてね」
「いいことですね」
「そう思うよ、僕は」
「実際にそうですね、ちょっと他の日本の芸術も」
 そちらもというのでした。
「これから勉強していきます」
「平安時代とかも」
「あらゆる時代のです、そうしてです」
「絵を描いていくんだね」
「そうします、とにかくこれからも勉強して」
 太田さんは目をきらきらとさせてです、先生に言いました。
「描いていきます」
「そうしていくといいよ」
「はい、楽しんでいきます」
 太田さんの顔はとても明るいものでした、窓の外から見える久し振りのお日様と同じだけ。そうしてまた絵を描くのでした。
 先生はその太田さんにお別れの言葉を言ってまた何かあったら研究室に来て欲しいとも告げてです、研究室に戻りました。そして研究室に入りますと。
 動物の皆がです、先生にこのお部屋でも言いました。
「太田さんスランプ脱出出来たの?」
「そうだったの?」
「それが出来ていたの?」
「うん、スランプのトンネルから抜け出ていたね」
 先生は皆に穏やかな声で答えました。
「有り難いことに」
「そうなの?」
「あれで?」
「そうは見えなかったけれど」
「雰囲気は確かに前よりさらに明るかったにしても」
「前も明るかったしね」
「スランプだったっていう時も」
 皆は首を傾げさせて口々に言いました。
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