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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第七十二話 目的と手段
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亡命した? 卿は憲兵隊に全てを話そうと提案したがエーリッヒはそれを拒絶した。確証は無かったかもしれんがうすうす気付いていたんじゃないかと俺は思っている』
「……」
イゼルローンでの出来事を思い出した。俺は憲兵隊に全てを話そうと提案した、だがエーリッヒは頑なに拒んだ。そして亡命することを選んだ……。あの時の事が鮮明に蘇った。エーリッヒの声が聞こえる……。
“ナイトハルト、私は決して卿のことを忘れない”
“俺もだ、俺も決して卿のことを忘れない”
“それは駄目だ、私は味方を撃ち殺して亡命する裏切り者なんだ、直ぐに忘れてくれ”
『ナイトハルト、俺の考えが正しければエーリッヒにはかなりの謀才も有るぞ。ただの戦略家じゃない、注意が必要だ』
アントンの声が俺を現実に戻した。その通りだ、注意が必要だ。感傷に浸る暇は無い……。ミューゼル提督にも話しておく必要が有るだろう……。
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