第五話 決意と恐怖
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、それなら納得できる。どこの世界にあんだけの弾をぶち込まれて平気な奴がいんだよ。あ、そりゃ「兵器」だからか。って、今のはちょっと面白いな。
「ジキール!ボサッとするな!」
「は、はい!?」
突然の隊長の声に思わず、声が裏返る。
「これは訓練ではない。実践だ!
戦場で足を止めるな。格好の的だぞ!」
「も、申し訳ありません」
これは、どうやら夢では無いらしい。
なら、どうすればいい?
これは現実で、あのデカブツは化け物だ。近寄ると何をするか解らない。だが、このままだと街を破壊し尽くし、新たな被害を生むだけだ。
止めなければならない。
でも、どうやって止めればいい?
弾は尽きた。残ってるのは、接近用のアックスとブレード。撹乱用閃光弾が二つと手榴弾が四つ。閃光弾と手榴弾は街中で使うには危険すぎるため使用は控えてたけど、この状況なら使っても問題ないと判断し。グレイズを操作する。
グレイズの腰にマウントされている手榴弾を一つ持ち、デカブツに投げつけた。
「これでも、喰らえ!」
弾丸の威力とは比較にならない威力を誇る手榴弾はデカブツに直撃し、それは爆発した。
「よしっ!」
直撃した。これなら────。
「止まるな!避けろ!」
隊長の声と同時に、何かが振り落とされた。
「え?」
それは太くて、長くて、まるで生き物の尻尾のようなものだ。それはとてつもない速度で、ジキールに向かって振り落とされる。
あっ。俺、死んだ。
避けられない。油断した。
俺って、馬鹿だな。あんなので倒せるんだったらとっく倒してるだろ。それなのに、手榴弾一発を御見舞した程度で舞い上がるなんてな。
振り落とされ、グレイズに直撃するまでの間が、異様に長く感じた。
止めろよ。早く振り降ろせよ。
なんで、こんなにも遅く振り下ろしてんだよ。早くしろ、死ぬのが怖くなっちまうだろうが。目は閉じられない、体も動かない。なのに、その一瞬をとてつもなく長く感じるなんて拷問過ぎる。余計な事を考えてしまう。あの尾でコックピットごと潰されれば、そんな事を考えられなくて済むのに。
死にたくない。死にたくない。
でも、こんなに遅く見えるのは嫌だ。避けたくても避けられない。軌道は見えてる。体が動かせれば避けられる。でも、肝心の体はピクリとも動かない。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。
死にたくない。死にたくない。死にたくない。
駄目だ。考えるな。死を連想するな。
何も、考えるな。
……。
………。
…………。
────────────ガッン!
…………。
………。
……。
死はやって来なかった。
変わりに、何か鈍い音が聴こえてきた。
視界は真っ暗で
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