暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
最終章
最終節―全ての救い―
その心において強者、勝者
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たかったから」

 ならば、今その望みを叶えてやる。

 語るは果たされない夢。
 願うは絶対崩れぬ意志。
 求むは生命を救うこと。
 歩みは遠く遥か彼方へ。
 道は続くことを知らず。

 これが、蒼也が望んだ“救い”。

「今、ここで俺は救世主となる』」

 その恐怖(苦しみ)を強靭な心へ変えて。
 その悲哀(苦しみ)を強き勇気へ変えて。
 その慟哭(苦しみ)を叫ぶ声へと変えて。
 その暗闇(苦しみ)を明るい道へ変えて。
 その巨壁(苦しみ)をこの力で破壊する。

 これが、蒼也が果たす“救い”。

 神々によって弄ばれた人々を救うために、蒼也は与えよう。
 そこには“肉体のみの強者”は存在しない。
 そこには“精神が脆い弱者”は存在しない。

 “故に、この身(蒼也)は全ての呪いを受けるに相応しい”。

 これこそ“蒼也が選んだ道(ハッピーエンド)”。

「――本来生きるべき人よ、甦れ『亡霊解放(エレメンタル・バースト)』」

 数体の亡霊を黄泉へ送り、その宿業を一身に背負う禁呪。

 ――違う、禁呪である“はずがない”。
 行うのは真逆であり、神ですら成し遂げられぬ偉業だ。

 “黄泉から死ぬ運命に無かった人々を、在るべき場所へ連れ戻す禁救”。
 “黄泉で在る人々が受けるはずの獄を、その身で集めただ背負う禁呪”。
 ――そして、ただ害なす存在(魔物)を、この身を犠牲に一掃する偉業だ。

 禁じられた救いを与え、禁じられた呪いを受ける。
 ただそれだけの術。

 自分という“概念”が崩れ去るのを感じた。
 自分という“理念”が崩れ去るのを感じた。
 自分という“人理”が崩れ去るのを感じた。
 自分という“歴史”が崩れ去るのを感じた。
 あぁ、けれど――

 ――後悔はしないだろう。

 本来生きて寿命を全うすべき人々を救った。
 本来とは逆に死を迎えられた人々を救った。
 本来、無い筈の歴史を変えて人々を救った。
 本来在り得ない偉業を成し遂げ人を救った。
 あぁ、けれど――

 ――消滅は怖かった。

 自分という存在が消え、自分というココロがキエ、自分トイウジブンがキエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ。

 あぁ、けれど――

「それが本当の“君が後悔しない道(ハッピーエンド)”なのかい?」

 ――自分を知る、誰かが居た。
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