最終章
最終節―全ての救い―
その心において強者、勝者
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前に現れたのは、白髪の長髪を揺らす人間。
そこまでは何もおかしくはない。
けれど、その姿に異常な違和感があった。
――あまりに、あまりに人間臭い。
この世の芸術の天才たちが総力を挙げ、一生をかけて作り上げたような美しさがない。
ただ、“10人に2,3人いるな”と思える程度しか整っていなかった。
ただ、蒼也の反応を“知った”第一のデウスは首を横に振る。
「それを思うのならば、貴様も“人間臭い”ぞ。まだ我の方が見れるくらいに、はな」
「…そういうことか」
確かに違和感がある。
それは“容姿が人間と変わらない”という一点のみだと蒼也は思っていた。
けれど、本当の“違和感”はそこではない。
「お前、随分“生物”らしくないじゃないか。無機物か?」
「――何を言っている?」
長い白髪の青年、第一のデウス。
その姿は人間らしくはあっても、その中身からは“生命”であることすら感じられない。
神だって結局は“人間が高次元化した者”から生まれたものであり、その根底にある“生命らしさ”は変わらなかった。
けれど、目の前の存在は“無機物”。
まるで人間の皮を被った、“鉄”そのものだ。
その瞳に、その身体の動きに、その喋り方に“意志”を感じられない。
「…第一のデウス、俺はお前に興味はない。“世界の歯車”と化したお前に何を聞いても、意味はなさそうだしな」
「あぁ、そうだ、“それでいい”。そうすれば上手くいく」
生きているとすら思えない、あまりの無感情な行動や声に蒼也は恐怖しか感じなかった。
―“アレ”が、今の俺の行き着く先…か。
今、蒼也はデウスの権能を全てカットしている。
だからこそ今の状態を保てるのだろうが、何百、何千、何万年とデウスでいればいるほど“世界の機構”となるのだろう。
それはつまり、“生命ですらなくなる”ということだ。
「…だが、アレはお前が目指した先なら仕方がない」
実際、第一のデウスが居なければ異世界の管理が出来なくなり、地球のある世界を除いた全ての世界が消滅するだろう。
自身が望み、そして結果やりたいことをやれているのなら蒼也は手を出さない。
それよりも救いたい人たちは多くいるのだから。
「『硬い決意、強き精神、痛み続け成長する心」
その心は頑強。
「俺の今は強者であり、俺の今は勝者である」
だから理解したことがある。
「“諦めはない”と思えた。“挫けれない”と感じた」
諦めることはできない。
挫けることはできない。
だからこそ、その心はただ強く在れた。
けれど、それは何のためだったのか?
「俺は救いたかったから。全ての人を救い
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