暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
最終章
最終節―全ての救い―
”元世界神”の成り立ち
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 ――気付けばそこに居た。
 感じる体温は懐かしく、感じる空気も懐かしい。
 だが、懐かしさもあるがそれ以上に昔との違和感が凄かった。

「そりゃ、当然だよな」
「ソウヤ君…まさか、君は――!」

 目の前に、驚愕で顔を固めたウィレスクラが“見える”。
 この身体の周りを漂う空気を“感じる”。
 声を少し荒げているウィレスクラの声が鮮明に“聞こえる”。
 長年飲み物を口から飲んでいないせいか気持ち悪い“味を知れる”。
 久しぶりに感じる空気の匂いを“嗅げる”。

 あぁ、ようやく――

「――ようやく、初めて“この目”で“この耳”で“この鼻”で“この口”で“この肌”で…“この体”でお前と会えたな、ウィレスクラ」
「“本当の”斑斗蒼也…!」

 神殺しの為の力…“すべてを拒否する力”は種族を人間にするスキルだった。
 “拒否する力”というのは、“人間”になる前提条件にまずは“妖精”であることを“拒否”する必要があったから、得た力だったのである。
 つまり、それは今までのソウヤ…否、蒼也の体は“借り物”だったということ。

「種族が人間になった時から、俺は確かな“違和感”を持っていたんだよ」

 元の人間に戻ったはずなのに、何かが違う。
 元の人間になったはずなのに、何かおかしい。
 ずっと蒼也は感じていた。

「今になってその違和感の理由がわかる」

 当然だ、16年もの間共に生きてきた体の感覚を忘れるわけがない。
 精神的なものでもあったが、それ以上の視覚的なものでも大きな理由があったのに、蒼也は気付けなかった。

 蒼也は手を空に持っていくと、3年間使い続けた単語を唱える。

「“ステータス”」

 しかし、その指先からは何も現れることは無かった。
 それを確認して蒼也は「やっぱりな」と笑う。

「お前の言った“アレ”、ここまで確認してようやくはっきりわかったよ。仮定から確信に変わった…って奴だな」
「…どうして“地球にある身体”と“妖精だった身体”が違うと、わかったんだい?いや、それ以前にどうしてその“選択”が出来る…!」

 ウィレスクラの真剣な表情の問い…というより確認に、蒼也は「なんだ、そんなことか」と両肩を上げる。

「お前にソウヤ()の身体を肉塊にされて、残ったのが脳と発音機能、んで辛うじて機能した聴覚だけだったからな。今まで感じてきた違和感を振り返っていたんだよ」

 そうして、見つけたのが大きく分けて3つの“疑問”だった。
 蒼也はそう付け足すと、人差し指をウィレスクラに向けて見せる。

「1つ目、“何故、人間だけは鎖につながれなかったのか”。世界が大体何百、何千以上とあって地球のある世界だけ、なんで鎖につなげなかった?」
「…試したか
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