最終章
最終節―全ての救い―
圧倒的敗北
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何かが砕け散る音がして、何かが崩れ去る音がしてソウヤは“目覚める”。
「…え?」
「本当に、君のような聖人ほど扱いやすい敵はいないね」
目の前に映るのは、“刀身が砕け散った”雪無の姿。
同時に感じるのは、身体が悲鳴を上げる声。
「ありがとう、ソウヤ君。楽しかったよ、オヤスミ」
次に感じたのは“死”。
『亡霊解放』の力を積み重ねすぎて、受け止めきれず破裂しかける身体に叩きつけられる暴力だ。
蠅を叩くように振るわれた手が直撃し、ソウヤは遠く飛ばされ血を撒き散らしながら倒れる。
――話にならなかった。
まるで赤子の腕を捻るかのように、簡単にソウヤは敗北した。
これだけ積み重ねても、まだ足りないのだと。
どれだけ積み重ねても、越えられぬ壁があるのだと言われるかのように。
「――――」
痛みはない。
とっくに判るための器官は失われている。
見えるものはない。
とっくに見るための器官は失われている。
音は聞こえない。
とっくに聞くための器官は失われている。
血の味はしない。
とっくに知るための器官は失われている。
空気の匂いはしない。
とっくに嗅ぐための器官は失われている。
――それでも残ったものはある。
考えるための器官は運良くか運悪くか残っていた。
なら、考えないと。
人は考える生き物だ、考えて生き残る術を探し続けてきたのだから。
考える対象として、一番気になるのはやはり“鎖”について。
どうして“人間”だけは“鎖”を繋がれなかったのか。
この世界の管理神は地球のある世界だけは、“魔力”のような摩訶不思議な物質が無いからだという。
だが、ルシファーに見せられた昔の地球の戦いの中では、魔法らしき光が確かに存在した。
もしアルティマースがそれを把握してなく、ルシファーの見せた景色が本当ならば、前提すら崩れてしまう。
そして"地球のある世界"に"鎖"がないのならば、どうして“地球のある世界だけ”なのか。
というより、何故“地球のある世界”という呼び方なのだろうか。
何故“地球を中心とした世界”と思わせるような言い方をしているのだろうか。
ヴェルザンディから与えられた知識の中で、妖精の世界のことを“スプライティ”と知った。
なら何故、地球のある世界を“地球のある世界”と呼ぶのだろう?
世界に名前があるのなら、俺たちの住む世界も名前があるはずなのに。
それも疑問だが、やはり一番の疑問は“鎖をつながった世界”が地球のある世界のみという点だ。
試験的に“魔力的な要素のない世界”を
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