最終章
1節―超常決戦―
森羅万象と百合の花
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故に、互いに相手の術を嫌う。
もう魂レベルで真逆の存在と言っても過言ではないだろう。
―障壁を壊す確実な手段は、『神技』のみ。ですが魔力量的に多用は出来ません。
なら、とルリが地面に手を置くと『森羅万象』が発動し同時多面攻撃をガブリエルに行う。
1ミリの誤差も無い密度攻撃にガブリエルは、“自身を覆う障壁”を創り出すことで防いで見せた。
―やはり多方面同時攻撃に切り替えてきましたか。ですが私の障壁は絶対、半端な攻撃では対処すら出来はしない。
『神技』レベルではないにしろ、『森羅万象』の発動にもある程度の魔力量を消費する。
ならば、ガブリエルが行うのはただ“耐久”。
そうすれば攻撃を全て魔法に振っている相手は、魔力切れを起こして行動できなくなるはずだろう。
ルリがガブリエルに“必殺”を入れるのが先か、ガブリエルがルリに“耐久”仕切るのが先か。
この勝負の行方はそこで決まると言っていい。
―“ただの戦闘なら”、ですが。
今現在、深春とレーヌは中級、または下級の天使の殲滅を行っている。
それが終われば、一気に形勢はルリ達が有利となるだろう。
また、ルリ達の本来の役目は「“神門”の防衛」である。
防衛をしている間にソウヤがウィレスクラに打ち勝ってしまえば、そこでこちらの勝負も自動的に付く。
そのことを考えるならば、勝負の行方は先ほどと真逆だ。
ガブリエルがルリに“勝つ”のが先か、ルリがガブリエルに“耐久”仕切るのが先か。
―圧倒的に今は私たちが有利。ですが、逆に言えばそこまでしてようやく私たちは熾天使と戦い合える。
頬を流れる汗を、ルリは手の甲で掬い取って飛ばしながら心の中で苦渋の表情を浮かべた。
ここまで敵を追い詰めて、初めて“申し子”と“熾天使”は対等。
それほどまでに、“熾天使”というのは圧倒的な存在だった。
―ソウヤさんの背中は、まだまだ遠いのですね……。
妖精でありながら魔族と対等に戦い、人間でありながら天使と対等に戦うソウヤ。
彼が本気を出せばガブリエルどころか、ラファエルと同時に相手しても余裕で勝つことができるだろう。
遠い、本当に遠い英雄の姿にルリは苦笑を抑えきれない。
それでも、だからこそ、ルリはソウヤに恋をした。
――だからこそ、ルリは彼女を倒したい。
ルリは両手に短剣を想像し、その柄を握りしめる。
彼と出会い、彼と旅をしてからのルリの視線は常にあの背中だった。
支えたい。
護りたい。
助けたい。
そんな想いが重なって、重なり続けて“恋”となった。
あのあまりな“英雄”らしさに、心を強く惹かれていたのだ。
「ガブリエル
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