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魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年
真・四十二話 賽は投げられた
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が引き抜かれる前にその刀身を掴む。痛みが右腕全体に広がって並の人間なら叫び声を上げている所だろう。

だが、全はこんな痛み慣れっこだ。鉛玉を右腕にぶち込まれてそのまま一夜を過ごした事だってある。寝ている間も痛みに耐えながら過ごし続けた全にとってこの程度の痛みは何てことないのだ。

「俺が、逃がすと、思うか?こんな事して……ただで済むと……思ってんじゃねぇぞ!!」

全は左手を振りかぶり、拳を相手の頬に叩きつけた。

「がっ!!!??」

そのまま、相手は吹っ飛びその拍子に相手が持っていた剣が相手の手から離れてしまう。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

「………………………」

全に守られながらなのはは呆然とする。

と、その時、なのはの脳裏に変な映像が浮かんだ。

――――――――――――そこは、道場だった。子供と青年が向かい合っている。

【あんたは、家族だろ?   の…………】

【そうだ!だから、よそ者であるお前が口出しするな!】

【よそ者である僕になってわかる!あなたは間違っている!】

【何だと!?】

青年はその手に持っていた木刀を振りかぶり、少年に振り下ろす。

少年は避ける素振りすら見せず、その木刀を受ける。

【っ、  くん!】

その勝負を見守っていた少女が少年に駆け寄る。だが、少年は手でそれを制す。

【…………あなたが望むのは家族の平穏でしょ……?だったら…………だったら!   の気持ちを少しは考えてくださいよ!   はただ、笑っていてほしいだけなんですよ!貴方達に!その気持ちを考えてやってくださいよ……!】

額から血を流しながらも、両手を広げて青年に訴える少年の背中を見て、少女は決意する。この背中を……たくましくも、どこか儚くて、脆くて……とても悲しい思いが宿っている背中を守ってあげたいと。

―――――――――――――そこまで見て、意識が現実に帰ってきた。

いつの間にか取り戻していたのか黒い剣を持っていた全は剣を手にし、短刀を左手に持っている全と剣戟を繰り広げている。

だが、負傷している分短刀を持っている全の方が不利なのか徐々に押されている。だがそれでも一歩も引いていない。

それどころか、剣を受け止めるのではなく受け流し、攻撃に転ずるという一種の離れ業をやってのけている。

「貴様が、何者なのか、正体を明かして貰うぞ!」

「っ!!」

黒い剣を持った全は一言も喋らず逃げようとする素振りを見せるも短刀を持った全がそれを許さない。

「なのは、無事か……って、何だあれ!?」

ヴィータが戻ってきて、目の前の出来事に驚く。

それもそうだろう。本来いない筈の人物が二人に増えてしかも斬り合っているのだ。驚くなとい
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