第19話『剣の時代が終わる時〜ナヴァール騎士団全滅!?』【Aパート 】
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同名の陣形をつぶやいたグレアストに、スティードは思考を巡らせた。そして答 えに行き着いたのか、ハッとうなずく。
グレアストが考案したそれは、「ジュウの部隊を横に細長い組に分け、『発射』・『装填』を輪廻のごとく繰り返す」ことによって、切れ目のない攻撃を生み出すことが可能となるものだ。
確かに、ジュウを配備された部隊は三日月の形をしている。しかし、騎士団のように縦横無尽に戦場を駆けまわるのではない。
駆けまわるのは――赤白い蜂という名の『鉛玉』なのだ。
そして切り札は、その蜂を大量に斉射できる『蜂巣』もある。これでまける要素は何一つない。
「いかにブリュー……」「撃て」
グレアストの言葉を断つように、本作戦の総指揮官たるテナルディエ本人が短く告げる。
ガヌロンとは違う、魔王の覇気に押されたのか、すぐ さまにグレアストは一番部隊へ指示を飛ばす。
「一部隊、構え」
すちゃりと、その『銃口』が敵の騎兵たちへ向けられる。
機械的に動く彼らは、命令に何の疑いもなく従うだけだ。
すさまじい怒号――自分の命に迫る恐怖によって、誤射をする兵が『オルメア会戦』で多数見受けられた。これでは最大威力を発揮するはずのジュウは意味を成さない。射程距離を納められないために――
しかし、グレアストはそれさえも克服して見せた。
『仮面の踊り』をはじめとした冷酷な処刑を配下の兵へ見せつけることで、これ以上ない恐怖を積ませたのだ。
ただの見せしめではない。次の一手を見越したグレアストの神算鬼謀によるもの。
だからこそスティードは思わずにはいられ ない。もしかしたら、『ジュウ』はグレアストの為に生まれ出でた虐殺兵器なのではないかと――
――はあああああああああああ!!――
すぐ視界には、単騎掛けで迫るロランの姿あり。その後続を若き騎士たちが奔る!
合図の為に片腕を上げているグレアストは、訪れる『瞬間』を見極めていた。
そして魔王と同じように灰色の侯爵は短く告げる。「撃て」と――
【瞬間、耳を切り裂くような『銃声』が戦場に木霊する!】
慈悲に介さぬ悪意の一斉射撃。
勇敢なる騎兵たちの雄たけ びを、一瞬にてかき消す重低音。
『流星』を隅に追いやった『逆星』が、瞬く間に戦場を埋め尽くしていた。
「お……収まれ!」「馬が言うことを!?」「くそおお!!」
次々と落馬を始めるナヴァール騎士団たちは、見えざる槍……すなわち、『銃声』によって耳を貫かれた。
心に染みゆく銃火の猛りは、騎士の足となる馬を恐怖へ突き落していく。
土砂を巻き上げ、悲鳴を上げ、その生命を虚空へ散らしていく騎士たち。
「……あれ?血が?」
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