第60話『一年生VS.三年生』
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「……っ」
この答えでは使わせようとは思えない。
大体、晴登に言わせてもらえば、鬼だとか隠された力はボス相手に使ってほしいと思う。例えばヒョウだとか。
増して、遊びとまでは言わないが、この戦闘はテスト。全力でやって大怪我でもしたら、ひとたまりもない。
「だ、大丈夫だよ! たぶん・・・」
「そこで『たぶん』はダメだろ」
「きっと・・・」
「変わってない」
「だと良いと思う・・・」
「ただの願望じゃねぇか!」
テスト中だというのに、図らずもノリが生まれてしまう。
晴登は気を取り直し、もう一度結月に問う。
「俺はその力についてよくわかんないけど──任せて良いんだよな?」
「もちろんだよ、ハルト」
「……正直、打開策は思いつかない。結月、頼めるか?」
「ありがと。任せて」ヒュオ
その瞬間、結月が禍々しいオーラを包まれるのを、晴登は見た。
*
「紅蓮斬!」ボゥ
「っ…!」ヒュ
「まだ避けるのね。中々しぶといじゃない」
「そりゃどうも…」ハァハァ
一方その頃、伸太郎は緋翼と一進一退の攻防をしていた。
・・・と言っても、明らかに緋翼が優勢である。
ちなみに『紅蓮斬』というのは、いわゆる"焔の衝撃波"だ。焔の塊なので、触れると火傷する。
「おらぁっ!」ボワァ
「無駄よ!」ジャキン
「くっ…!」
炎を放ってみるも、ついに刀ですら両断されてしまう。しかも、よくよく見ると緋翼は未だに焔の鎧の中。炎が効かないのは当然だ。
「三浦にはカッコつけちまったけど、こりゃ勝機がねぇぞ……」
相性的には五分五分。それは即ち、実力で差がつくことを示す。そして、伸太郎と緋翼の実力の差は一目瞭然。つまり伸太郎の発言が、現実味を帯びていく。
「……バカ、諦めちゃダメだ。こんなに楽しいんだから、すぐに終わらせちゃつまんねぇだろ」
勉強だと敵無し。運動だと全員敵。──ただ、魔術だけは平凡。伸太郎はその事実にを、実は密かに嬉しく思っていたりする。やっと対等に、人と渡り合えるのだと。
「考えろ。姑息な事なんて、幾つでも思いつくだろ?」
さっきから・・・いや、以前から見てきた緋翼の動きを洗いざらい思い出す。言葉、動き、癖・・・全てが策の糧となるのだ。
そして、それに対する自分の魔術の使い方を熟考しろ。
「つまり、炎の攻撃は愚策。てことは──光で攻めるか」
伸太郎はそう思いつくや否や、周囲に光の粒子を出現させる。それらは燦々と輝きながら、伸太郎を包み込んだ。
「眩しい…!」
この技の利点といえば、相手か
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