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強欲探偵インヴェスの事件簿
捜査開始
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で買っている好事家の情報はあるか?」

 何度も言っているが、エルフの奴隷というのは稀少だ。好事家ならば、大金を積んでも欲しがるだろう。

「そうですな……それならば今リストを作ってお渡ししましょう」

 ガルドは立ち上がると、再び執務机に戻って何かを紙に書き込んでいく。そこへ先程のメイドさんがお茶と軽食を運んできた。

「どうぞ、召し上がっていて下さい」

「すまんな、頂くよ」

 ハリーはそう断りを入れ、サンドイッチを手に取ると口に押し込んでムシャムシャと食べ始めた。朝早くに帰ってきて、ギルドに備え付けの酒場で朝飯代わりのステーキを食ってから飲まず食わずだったハリーは、猛然と皿の上のサンドイッチを攻略していく。そして皿の上のサンドイッチを全て平らげると、淹れてもらった紅茶を味わうようにして飲む。その余りの勢いにメイドさんも少し押され気味だ。

「出来ました、こちらです」

「すまんな、恩に着るよ」

「いえいえ、大してお役に立てずに済みません」

「いや、十分だ」

 そう言ってハリーはガルドの商館を後にした。その後ハリーはガルドから貰ったリストを元に調べてはみたものの、特に目ぼしい情報はなく、やはり非合法な事に巻き込まれて行方不明になった事を裏付ける事しか出来なかった。そして夕暮れになってこれ以上の調査は不可能と判断して、インヴェスの事務所に戻った。




「あ、お帰りなさいハリーさん!」

「その様子だと何も掴めなかったらしいな?」

 クッキーちゃんを抱き締めたミーアが明るく声を掛けてきたそれとは対照的にソファに寝そべったインヴェスがニヤニヤと嗤っている。ハリーが何も掴めずに帰ってくるだろう事をある程度予期していたらしい。

「さ〜ってと、頼りにならねぇ筋肉ヴァカが帰ってきた事だし、今度は俺様の番だな」

 ソファからひょいと起き上がると、インヴェスはハリーの入ってきたドアから出ていこうと歩み出した。

「下手すりゃ帰りは明日の朝だ、適当に飯なり寝床なり支度してくれ」

 そう言い残して、インヴェスは部屋を後にした。向かうのはハリーとは真逆、スラムの奥地である。餅は餅屋、悪党の事は悪党に聞けがインヴェスの考え方だ。フンフンと鼻唄を歌いながら、スラムのボロ屋の間の隙間を縫うように進んでいく彼にとってはスラムの複雑な造りも庭のような物である。10分も進めばスラムの一角だというのに道幅が広くなっている通りに出た。皆一様にボロボロの家屋が道の左右に規則正しく並んでおり、さながら商店街のようであった。そしてその実、商店街という表現はあながち間違いではない。ここは表の世界では捌きにくいような商品を取り扱うグレーゾーンマーケットなのだ。勿論、完全に非合法は商品を扱っている所はほとんど
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