第十五話「トンネルを抜けた先にはパーフェクトガンダム」
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が。その途中にやや疲れを感じたのか、アムロはある無人の浜辺へと降り立つと、パーフェクトガンダムを解除して短パンとTシャツのラフの姿となって砂浜に座った。
「パーフェクトガンダムの性能は抜群だけど、こうも長時間なら疲労も抜群だな?」
「ハロハロ!」
いつものように、ハロは僕の小脇に抱えられた。
「試験中だけど、ちょっとだけ休憩ぐらいはいいよな?」
そう僕は深呼吸と共に疲れた体を背伸びさせて静かに漂う波の音を聞きながら目をつむった。
すると、のんびりくつろぐ僕の耳元が何かを聞き取った。
――……〜♪
綺麗な女性の歌声であった。透き通った、綺麗で美しい優し気な声。それが僕の耳元へ届くと共に風に乗って彼の髪を優しくなでた。
「この歌は……?」
立ち上がると、僕は吸い寄せられるかのようにその歌声の聞こえる方向へゆっくりと歩いていくではないか。
「何だろ? この歌、何処かで聞いたことがある……」
懐かしい歌だった。小さい頃、母さんが僕に歌ってくれた子守歌とどこか似ている……
――母さん……
今は亡き、お母さんの面影を浮かべて、僕は声の方向へ歩き続ける。
歩き続けてたどり着いば場所、そこはビーチに設けられた一軒のログハウスからだった。
そして、その歌声の主はハウスのガーデニングに居て、椅子に座りながら歌い続ける僕の同い年の少女であった。黄色いワンピースに、団子ヘアーの……美少女だ。
「……?」
すると、少女は歩み寄る僕の気配に気づいてそっと振り向いてきた。僕はやや驚く。
「す、すみません……綺麗な声だったから?」
僕の、あいまいな言い訳。しかしそんな少女は僕を不思議に見つめた後。
「フフフ……」
と、優しく微笑んでくれた。どうやら、僕を不審者として見ていないようだった。僕はホッとした。
それから、少女は僕から波打つ海の方へと視線を向けて、じっと見つめていた。僕はどうすればいいのやら、気まずい雰囲気と沈黙が続いた。
しかし、僕はまたありきたな言葉で口を滑らせてしまう。
「海が……すきなのかい?」
その一言に、少女はまた僕の方へ振り向いた。そして、笑んでこう返す。
「海、綺麗でしょ?」
「う、うん……」
「綺麗なものが嫌いな人が居て?」
「……いない、かな?」
「それに……」
と、少女は椅子から立ち上がって僕の……僕の目を見つめた。僕は緊張して何も言えなくなってしまった。これほどドアップで見られたら、目をそむけたくなってしまう。
「綺麗な目をしているのね?」
「えっ……?」
「純粋で、綺麗な目……」
「……」
僕は、この不思議な少女を見つめた。何か、共通している何かを感じてしまった。彼女から純粋と、好奇心と、優しさを感じたのだ。この感覚は……
「アムロ……」
そんな二人のやり取りを、遠くから見て
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