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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第623話】
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…」
「え?」
楯無が聞き返した頃にはシルバーの姿は其処にはなかった、ただ――月に昇るようにキラキラと輝く粒子片だけが其処に舞っていただけだった。
時を同じく、上空で戦う黒夜叉とユーバーファレン・フリューゲル。
「あぎゃぎゃぎゃっ!! 良いぜぇ……やっぱ、本気の死合いは血がたぎるぜ!! お前もそうだろ、ハルトッ!!」
「何が血がたぎるだ!!」
「つれないじゃないかハルト! そらァッ!」
ハイキックを捌き、ハルトは腕部装甲から飛び出したナイフで切りつけるとシールド・バリアーに干渉して閃光を放つ。
回転する刃が唸りをあげる、神すら葬ふるその刃が黒夜叉の装甲に干渉――。
一向に傷がつかない装甲、徐々にじり貧になるカーマイン。
以前対峙したときより遥かに強固になり、出力が増したその黒夜叉が欲しいとさえ思うカーマイン。
劣勢の最中、カーマインはシルバーからの通信が届いた。
『カーマイン、足止めはもういいわ』
『あぎゃ? けっ、せっかく調子が上がってきた所なのに』
『嘘ばっかり。 かなりの劣勢じゃない。 わざわざ私達の真似をしてシールド・エネルギーを《学園仕様》じゃなく《制限解除》すれば良いじゃない』
『あぎゃ、俺様は可能な限りフェアに行くのが俺様流だ。 圧倒的に俺様が有利な状況なんざ楽しくもねぇ。 ……まあ、基地潜入で軍人皆殺しにする場合は違うがな、あぎゃぎゃぎゃっ!』
『とにかく退きなさい。 白騎士も暴走しているわ、上に居るボスとシャルトルーズに合流するわよ』
『けっ、スレートの奴はどうした?』
『スレートは今も避難誘導しているわ、メディアへの牽制もね』
『……あぎゃ、了解した』
もっと戦いたい――だがシルバーが戻るのなら役目はここまでだ。
持っていたチェーンソードをかなぐり捨てたカーマイン、そして告げる。
「あぎゃ、わりぃがそろそろ撤退する時間だ」
「だからと言ってはいそうですかって言うやつが居ると思うか?」
「あぎゃっ、まあ居ねぇな。 ……でもな、そんなに離れてててめえの嫁さんが一人になってること、忘れてねぇか?」
「……!?」
そうだった、真理亜の側から離れないために来ているのに――陽人はカーマインをその場に残し、先に戦線を離脱した。
「あぎゃ……。 けっ、とはいえ……有坂真理亜か。 子供を生んだにしては中々の容姿だな」
ハイパーセンサーに映し出された有坂真理亜の顔写真を見たカーマイン、舌で唇を舐める。
そしてそのまま上空へと飛翔した。
京都の遥か上空、既に無人機群を壊滅していたウィステリア・ミストとシャルトルーズの二人。
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