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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第623話】
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は気付くことはなかった。

 一方で遠く離れた京都の市街地には夜空を交差する三機の機影とその眼下の市街地は炎で赤く染まっていた。


「……被害が……」


 未来は小さく呟く、その肩を鈴音は叩き、首を振った。


「未来……被害もそうだけど、今はヒルトや一夏の元へ行こう?」

「……ですわね。 此処等一帯は被害は少ないですけど、彼方の被害は甚大ですもの」

「そう、だな……」


 遥か先に燃える街並みを見て箒は唇を噛み締める、これまで意識はしていなかったが改めて自分が振るう力の意味を知った気がした。

 ただ一夏と並びたかったそんな力が、間違えれば街を燃やす――少し前まで完全に力に飲み込まれていた箒は今の惨状を目に焼き付けるように見つめる。

「行こう……皆。 お兄ちゃんに何もなくても織斑くんがどうにかなったってあのオバサン言ってたし」


 美冬の言葉に頷いた一同は空域を後にした。

 一方で旅館庭園、スコールの援護をしたシルバーは山田真耶を無力化したところを更識楯無に発見されていた。


「待ちなさい! 貴女……先日もスコールを助けていたわね」

「…………」


 シルバーは答えない、月明かりに照らされた銀髪が艶やかな輝きを放つだけだった。


「黙っていても無駄よ、貴女は亡国機業の人間ね……?」


 楯無にとってはカマかけだった――そして思惑通りシルバーは否定した。


「フフッ。 外れよ」


 振り向いたシルバー――蒼く透き通った眼差し、人を殺すことに躊躇が無い気迫、そして何より……楯無は直感した。

 勝てないと、単一仕様があるから勝てないではなく、明らかにブリュンヒルデが纏う気迫みたいなものを敏感に感じていた。


「あの女を助けたのはうちのボスの命令に従っただけよ。 そうじゃなければ、手助けする気もないし何なら逆に捕まえる手助けしても良かったぐらい。 ……だけどそれは出来ないし、やってはいけない理でもあるし、因果率にどう影響を与えるか……」


 まるで遠くを視る様な眼差し――因果率、理、いきなり何の話かわからず楯無もただ黙っていた。


「……一応訊くけど、逃がしてくれるかしら?」

「……本来なら犯罪行為幇助の疑いで拘束したいところよ。 ……だけど、私じゃ今の貴女には勝てないわ」

「あら、やってみないとわからないんじゃない? 単一仕様は使わないわよ、その気があるなら被害が及ばない上空で相手をするけど?」


 楯無は首を振る――負けたくないから戦わない訳じゃない。

 クスッと微笑むシルバー――くるりと踵を返すと呟く。


「ありがとう、見逃してくれて。 戦えば……兄さんに怒られていたもの…
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