第四話 父さん
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俺は、オルガとミカヅキが大嫌いだった。
あの気に食わねぇ目付きとムカつく態度。初めて会った時なんて、そりゃあもめたもんだ。
俺は、あのクソ生意気なオルガが大嫌いだ。
あと、そのオルガに付いていくミカヅキも大嫌いだ。
なんでも、出来るように威勢を張ってそれなりの結果を出すオルガが……嫌いだ。スゲェ恰好良く見えて、俺もあんな風になりたい。そう思った俺が────嫌いだ。
オルガの言う事は聴いて、俺の言うことには耳も傾けない。そんなミカヅキの事が嫌いだ。
オルガの指示を完璧にこなして、俺が出来ないことを平然とやって退ける。スゲェ恰好良く見えて、俺もあんな風になりたい。そう思ってしまう俺が────嫌いだ。
どっちも大嫌いだ。
なんで、アイツらはあんなに出来るんだ。なんで、俺は何にも出来ねぇんだ。
そう、自問自答して前を向いて後ろを向いても解らない。
俺には、何にもねぇ。オルガみてぇな行動力もミカヅキみてぇなモビルスーツの操縦も出来ねぇ。俺もアイツらみてぇに出来る男になりたい。
なんでも一人で出来てなんでもやって退ける……そんな男になりたい。
あのクソ野郎どもをあっと言わせる。そんな男になりてぇ!
努力した。
でも、アイツらはどんどん先に行って見えなくなっちまう。
俺も前に進んでいるはずなのに。
俺が、一歩進む間にアイツらは十歩以上進んでいる、そんな気がした。実際そうなんだろう。アイツらバケモンだ。俺がいくら努力したって追いつけないし追いつかない。
努力は人を裏切らないって言うが、そんなの出来る奴の言葉だ。俺みてぇに出来ねぇ奴がいくら努力したって無駄なもんだ。
なのに────なんで、俺は。
あの頃の俺は若かった。
いつか、あのでっかい差を埋めようと必死に努力していた。無駄な努力、時間の無駄ってのはテメェがよくわかってる。でも、それでも俺は走り続けた。
その頃の俺は解っていた。
いくら走り続けても、俺はアイツみたいにはなれない。そんなのは分かってた。なら、アイツらに無いものを俺は磨くんだ。オルガ、ミカヅキが持ってない何かで俺はアイツらに勝つんだ。
んんで、努力しまくって今の俺だ。
結局、今の俺で勝てるものと言えば歳と立場くらい。そんだけだ。
オルガ、ミカヅキ。
俺はテメェらに少しは追い付けたか?
そう言ったら、アイツらはこう返してくる。絶対に確実に鼻で笑ってな。
「ユージン……だから、お前はユージンなんだよ」
うるせぇ。テメェに言われる筋合いはねぇ!
で、俺も笑って奴らに言ってやる。
「いつか、テメェらよりも偉くなって顎で使ってやるから覚悟しやがれ!」
自信満々の笑みで、何の根拠も無しに俺は言ってやる。
死んだこと
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