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強欲探偵インヴェスの事件簿
強欲探偵の弱点
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                     ハリーより』

 確かに、部屋の隅に追い詰められたインヴェスは頭を抱えて丸くなっており、いわゆるカリスマガードの体勢を取っている。チワワ改めクッキーちゃんは、そんな様子のインヴェスの真ん前に陣取ってお座りをし、尻尾をフリフリしながら舌を出しながら小首を傾げている。普通の人ならばとても愛らしい姿に見えるのだろうが、インヴェスの目には

『さて、お前をどうやって喰らってくれようか?』

 と思案しているような姿に映っている。とてつもない被害妄想だが、それだけのトラウマをインヴェスは抱えている……のかもしれない。

「畜生……何で俺の前に陣取ってやがるんだあのビッチはよぉ」

 涙目のインヴェスはそんな風に愚痴を溢す。まぁその発言もあながち間違いでは無いのである。何せクッキーちゃんは犬という畜生であり、ビッチ(雌犬的な意味で)なのだから。




 インヴェスも(エロい意味での)ビッチは嫌いではない。むしろ大歓迎である。しかし雌犬的な意味でのビッチは勘弁である。ノーサンキューである。

「え〜?こんなに可愛いのにぃ」

 ミーアが抱きかかえてクッキーちゃんを移動させると、インヴェスは途端にカリスマガードを解き、びっしょりと顔に滲んだ汗を拭った。

「へっ、へへへ!お前なんか抱っこされて動けねぇ状態なら恐かねぇんだよ!ほれ、何とか言ってみやがれこの犬っころ!」

 と不用意に顔を近付けたインヴェス。その瞬間に舌を出してインヴェスの鼻先を舐めるクッキーちゃん。

「すんません調子こきましたゴメンナサイ食べないで」

 瞬時に丸くなってガクブルするインヴェス。余程犬がダメらしい。そんなおかしい様子を見て、クスクスと笑うミーア。そしてその胸中は、ハリーさんが帰ってくるまでどうやってインヴェスさんに仕返ししようか?と思案を始めていた。状況に流されているだけの小娘かと思いきやこのエルフ、意外と強(したた)かである。


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