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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
「みつるぎ」
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いません」

 折角ここまで来たのだし、ここで帰るのも失礼と思った私は素直にミューゼル専務の後に続く。
 何度かのセキュリティチェックの後、本格的に装備開発のエリアに入った。
 楯無会長が『みつるぎ』の装備はいい、と言っていたとおり施設はかなりのものが揃っている。国営企業のジャクソン社には流石に劣るが、一企業の設備としてはかなりの規模だ。
 射撃装備、近接装備、増設ブースター、各部スラスター等々・・・・・これで一部なのだから全貌は国営企業に迫るほどの設備があるのかもしれない。

「すごい・・・・・・」

「代表候補生からお褒めに預かり光栄の至りね」

 私のつぶやきにミューゼル専務が答えてくれる。日本の一企業って言うことであまり詳細は知らなかったけど、他の国の企業も今後しっかり見ておこうと再認識させられてしまう。
 ふと、一つの部屋の前でクロエの足が止まった。
 4方をガラスの壁で囲まれた部屋の中には一つのベッド。その上には一人の女性が横たわっていて腕には点滴がされている。
 何の部屋か気になり部屋の名前を確認する。

「『強化薬実験室』? 薬品の開発もしてるんですか?」

「ドーピングでもしてるのか?」

 なんともそのまんまの名前の部屋に私とクロエがミューゼル専務に尋ねる。

「まあそう取ってもらっても構わないわ」

「え?」

 まさかの返答に私は間抜けな声を上げてしまった。ここまで包み隠さずにドーピングと言われてしまうと逆に冗談に聞こえてしまうから不思議だ。

「ふふ、冗談よ。でも薬を作ってるのは本当。視覚を一時的に広くしたり、思考処理を早くするようなものを開発中といったところね。あまり詳しくは話せないけど人体に後遺症が残るようなものは作ってないわ。そもそもまだ実験段階だからIS操縦者に試したことはないのだけれど・・・ああ、よければ実験台になってみてくれないかしら? 報酬はしっかり出させて貰うわよ」

「え、遠慮しておきます」

 笑顔を崩さないでミューゼル専務が言って来る。何でだろう。この人の言葉は一つ一つが冗談に聞こえるのに冗談に聞こえない。何を思っているのか自分でも分かりづらいけど、言葉では言い表せない雰囲気を持っているのは確かだ。
 だからこそこの若さで専務取締役なんて重要な役職に就けているのかもしれない。
 そこから先は立ち入り禁止ということで、ミューゼル専務に促されて外へ戻ることになった。
 外に出ると思ったより時間が経っていたのか、既に日が傾きかけている。

「さて、こんなところかしらね。どう? 参考になった?」

「ええ、とても参考になりました。ありがとうございました」

「国営企業じゃなくても馬鹿にできないってことは十分理解できたよ。」

「ふふ、
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