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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
「みつるぎ」
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れば確かにそうだ。一般の、興味のない人ならわからないかもしれないが・・・・・・IS関連の、特に営業の人にとって国家代表や代表候補生はお客様なのだ。顔も出身国も公開されている以上、調べればすぐにわかる。ガードマンと受付で騒がれなかったのが偶然だっただけなのかもしれない。
 緊張が緩和したところに丁度エレベーターが来て私たちはそれに乗り込む。

「それで? ジャクソン社所属の候補生二人が嘘までついて何の要件かしら? 場合によっては本国に確かめる必要も出てくるのだけど……」

「脅す気か?」

「脅し? いいえ、これは至極まっとうな私たち企業の権利よ。貴方たちを問答無用で企業スパイとして突き出すこともできるんですから、せめて用件くらいは教えてもらわないとね」

 ミューゼル専務は地下5階行きのボタンを押し、エレベーターが下へと動き始める。
 少しの沈黙の後、私は覚悟を決めて話を切り出した。

「あの、この会社に渉外担当の巻紙礼子さんという方はいらっしゃいますか?」

「巻紙? ええ、いるけど彼女が何か?」

「会わせて欲しいんです」

「なぜ?」

 私はIS学園で一夏さん宛てに受け取った名刺をミューゼル専務に差し出した。

「確かにウチの名刺で巻紙のものに間違いないわ。これをどこで?」

「先日IS学園の学園祭で、彼女にいただきました。その時にいつでも来ていい、と」

 まるっきりの嘘だが、ここではこれくらいしか言えない。もしあのアラクネの操縦者「巻紙礼子」がまだ『みつるぎ』に潜入しているとしたらミューゼル専務の身が危ない・・・以前にこの会社自体が亡国機業の隠れ蓑の可能性も捨てきれない。こんなはっきりしてない状態で全部正直に話すなんて自殺行為もいいところだ。
 ミューゼル専務はふむ、と口元に手を当てる。

「確かに彼女にIS学園に行くように指示を出したわね。でもいつでも来ていいなんて話は聞いてないけど……あとで聞いておかないとね」

「そ、それで今日は訪問させてもらったのと、あとはお礼を言えれば……と」

 正直本人に会うとかなりまずい状況・・・・・・だけどそれを確かめたくて今日はここまで来た。
 最悪こんなところで戦闘になる可能性も否定できないが、少しでも手がかりが掴めれば御の字だ。

「なるほど、でも残念ね。今彼女海外出張中なのよ。戻るのは一週間後の予定よ」

 どうやらここで戦闘が始まる、という最悪の状況は避けられたみたい。
 ほっと胸を撫で下ろしつつ、会話を続ける。

「どこにですか?」

「あなたたちの故郷、オーストラリアよ。今頃ジャクソン社の本部で会合してるんじゃないかしら?」

「「え?」」

 何気なく聞いた問いに予想外の言葉が返ってきたせいで私とクロエ
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