第四章
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「そうですよね」
「それ白波五人男だね」
「その口上です」
「それ東京のだよ」
由美子の苦手な、というのだ。
「江戸歌舞伎なんだよ」
「えっ、そうなんですか」
「白波五人男はね」
そうだと話すのだった。
「そうなんだよ」
「そうだったんですか」
「うん、音羽屋さんのお家芸の一つで」
尾上菊五郎の家だ。
「音羽屋さんは江戸歌舞伎のお家だから」
「それでなんですか」
「あっちだよ」
「江戸ものは苦手と思っていたら」
「それがね」
「全否定かというと」
「それは出来ないね」
「そうなんですね」
由美子もある意味で納得した。
「実は」
「というか落語自体が色々影響を受けてるじゃない」
「歌舞伎にしても」
「だから」
それでというのだ。
「あながちね」
「否定出来るかといいますと」
「そうでもないんだ」
「そうなんですね
「落語の世界は広いね」
「はい」
由美子が最もよくわかっていることだ、落語はお笑いだけでなく部長がこだわった怪談もある。上方も今話している江戸もある。その世界の広さも由美子が落語を好きな理由だ。
「本当に」
「だからね、江戸歌舞伎も入っていて」
「今の私みたいにですか」
「知らないうちにね」
「出ていたりするんですね」
「そうだよ」
部長は由美子に笑顔で話した。
「このことも覚えておいてね」
「わかりました」
由美子は部長のその言葉に頷いた。
「これからは江戸っていっても否定しないで」
「上方メインでもね」
「そちらも勉強していきます」
「そうしたら君の落語いはもっとよくなるよ」
「そうですよね」
「受け入れて学んでいったら」
それでというのだ。
「違うからね」
「これからもですね」
「学んでいってね」
「そうさせてもらいます」
由美子は部長に確かな子蒼で答えた、そしてだった。
上方落語だけでなく江戸落語も学んでそちらも活かす様になった。しかしそれでも部長に聞きたいことがありある日彼に尋ねた。
「文化祭前に百物語りを言い出したのは」
「実際に何か起こるかって興味を持ってね」
「それで、ですか」
「本当に怪談を百話したらね」
落語のそれをというのだ。
「なるのかなって思って提案したんだ」
「そうだったんですね」
「まあポシャったけれどね」
部長のその案はだ。
「そう思ったからなんだ」
「そうですか」
「うん、まあね」
ここでこうも言った部長だった。
「機会があったらね」
「一度はですか」
「やってみたいね」
笑顔で由美子に話した、しかし由美子はそちらはとんでもないことが起こったらと考えて賛成出来なかった。
落語女子 完
2017・
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