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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第91話:何だかんだ言ってエゴイスト
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……」
私しか居ない学長室に重い沈黙が溢れかえる。
「はぁ……彼女しか……居ないか」
そして私の声だけが更なる重さで響き渡った。
私は徐に立ち上がり学長室から出て目当ての生徒の下へと足を進める。
この時間なら、まだ教室でピアノの練習をしてるはずの彼女の下へ……
ピエッサ・パルティシオン……
ウルフ閣下の希望条件を全て満たし、今回の試みを成功させ得る少女。
そして……私の姪っ子でもある生徒の下へ。
ディレットーレSIDE END
(グランバニア城・宰相兼国務大臣執務室)
ウルフSIDE
芸術高等学校の学長にマリ−の相方選びを依頼した翌日、俺の執務室に学長からの推薦状を手にした女子生徒が1人現れた。
彼女の名はピエッサ・パルティシオン……
俺の記憶に間違いなければ、彼女はディレットーレ・コンポジート学長の姪御さんだ。
良いのかね、こんなアホな計画に自らの親族を宛がって?
失敗したら良い晒し者になるだけでなく、将来に影響が出ると思うのだが……
「あ、あの叔父から……あ、いえ、学長から推薦を受けましてウルフ宰相閣下のお知り合いの方に協力させて戴く事になりましたピエッサ・パルティシオンです」
「やぁ良く来たね。歓迎するよ」
今年三年生になった彼女は単身で城に入り、しかも国家のナンバー2の執務室へと通されて些か緊張気味の様子。
だが彼女からは悪くない為人を感じる。美少女だからかな?
「早速当人に会わせたかったんだけど……まだ帰ってきてないんだよね。だからさ、相棒になる相手のことを多少教えておくよ。応接室まで一緒に良いかな?」
「は、はい! よ、宜しくお願いします!!」
う〜ん……随分と緊張してらっしゃるなぁ。
出来れば女性と密室で二人きりになりたくないなぁ。
また変な噂が広まっちゃうよ。
「ユニさん、申し訳ないけど同席をお願いしても良いかな?」
「……閣下が彼女を押し倒しそうになるのを防ぐ為にですか?」
嫌な言い方をする女だな。
「広い意味では間違っては無いが『他者への無用な誤解を未然に防ぐ』と言う意味が妥当だ」
「はぁ……節操が無いと色々大変ですね閣下。解りました……私も忙しい身ですが、閣下の輝かしい評判を守る為に協力致します」
凄〜い。
あの事件以来、ユニさんの敵意がハンパな〜い!
見た目は何時もと同じ様に振る舞ってるけど、言葉の端々にトゲがビッシリ?
「ありがとう。上司の俺よりかは忙しくないはずのユニさん。凄く助かるよ」
「色々陰謀を企んでるから忙しくなるのではないですか? 陛下を困らせるのを止めれば、もう少し忙しさも軽減されますよ(ニッコリ)」
あ〜ん(涙)
優しい笑顔で嫌味全開!
ウルフSIDE END
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