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SAO:tr2―閃光と鬼道雪―
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ん今日はお疲れ様でした!」

 伝えるだけ伝えると、残っている左手でキリトの右腕をガシッと掴み、ドウセツと一緒に引きずりながらグイグイと、ゲート広場へと足を向かって行った。
 置いてきぼりにされた私は後についていく。

「お……おいおい、いいのか?」
「いいんです!」
「……ねぇ、まだ買取が済んでいないんだけど? 勝手に連行しないでほしいのだけど」
「あれほど挑発するのはやめた方が良いって、毎回毎回言っているのに一つも言うこと聞かないドウセツが悪いんでしょ! 今日はキリト君とキリカちゃんがゲットしたラグー・ラビットの肉を食べていいから、お説教するから覚悟してよね!」
「買取の邪魔したのだから、お説教はなしにしてもらうわね」
「ほんと、自分勝手だから!」

 なんか流れで一人追加されるようだけど、私も兄もそれを口出しする程、気が強くないので諦めるしかない。と言っても、ドウセツが邪魔とかそういうわけではなくむしろ私としては歓迎している。
 
「ドウセツ」

 私はドウセツに声をかけた。

「あら、いたんだ」
「エギルのところにすっといましたよ。それにしても、結構な罵倒だったね、ストロングスと何かあったの?」
「別に……うるさいから黙らせようとしただけよ」

 素っ気ない態度でドウセツは答える。
 先ほどのストロングスのやり取りを見ていてば、ドウセツがいかに冷酷で性格が悪い人だと認識してしまうだろう。
 二つ名で知られている『鬼道雪』は戦国武将の立花道雪が由来されているらしいけど、それを知らない人からすればドウセツが鬼の様に厳しく、そして怖い人だと思われてもおかしくはないでしょう。
 そういう意味では誰よりも近づきたくないプレイヤーがドウセツ。下手な『ビーター』よりも彼女を毛嫌い、そして恐れる人は多いだろう。ドウセツもドウセツで周りの人と協調する様なことはしない。例えそれが良くないことだろうが自分自身を貫いている。先ほどアスナがフォローに入ったのにも関わらず、それを振り払ったのがその例だ。
 ……でも。
 
「でも、私はドウセツが良い人なのは知っているからね」

 本当はドウセツは良い人なんだ。
 言葉が辛辣で、表情も無表情に近く、冷徹に見られることがあるし、私もドウセツに対して怒りを抱くこともある。
 それでも私は知っている。最初に逢った時も、フロアボスと戦う時も、棘のある言葉をぶつけてくるけどもドウセツに秘めている確かな優しさがある。
 私はドウセツのおかげで、今ここにいられる。
 私にとってのドウセツは“恩人”。
 絶望の淵まで追い込まれた私を救ってくれた温かさはしっかりと残っている……。
 
「何をどう思って私の事を良い人って言えるのかしらね。そこまでポジティブ精神だと不気味よね」

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