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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十五話 地雷
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もようやく分かりました。第三艦隊はケリム星系に向かっています。

提督が嬉しそうに笑い声を上げました。
「その通りです、第一艦隊はリオ・ヴェルデ星系、第三艦隊はケリム星系の二手に分かれて第一特設艦隊を鍛える役を担っているのですよ。私達がどちらの航路を選んでも奇襲できるように」

「ワイドボーン提督が我々を挑発するような物言いをしたのもわざとですか。敢えて悪役を演じる事で敵対意識を煽った……、第一特設艦隊を一つにするために……」
呆れたような准将の口調でした。提督は嬉しそうに笑みを浮かべて准将を見ています。

「ワイドボーン提督は良い仕事をしてくれましたよ。ヤン提督ではああはいかない」
そう言うと提督がまた笑い声を上げました。

「やれやれ、酷い話ですな。ミハマ中佐、そうは思わないか」
「酷いですが、提督らしいと思います」
シェーンコップ准将が笑い出しました。私も笑うしかありません。提督も苦笑しています。
「一番酷いのは貴女ですよ、ミハマ中佐」
提督のその言葉にまた准将の笑い声が上がりました。

一頻り笑うと提督は表情を改めました。笑みを収め厳しい表情をしています。
「リオ・ヴェルデに向かうまでに最低でもあと一度は奇襲をかけてくるでしょう。その後はワイドボーン提督次第ですね。リオ・ヴェルデ以降は航路が複数に分かれます。こちらの進路をどう読むか、向こうも決して楽な訓練ではない……」

提督の言葉にシェーンコップ准将が頷きました。ヴァレンシュタイン提督、ワイドボーン提督、ヤン提督。今回新たに艦隊司令官になった三人はいずれも若いのです。それだけに周囲の反発は必至でしょう。それを跳ね返すのは実力だけです、抜擢に応える事でしか跳ね返せません。訓練をおろそかには出来ません……。





「閣下、出航時間まであと一時間です。出航準備整いました」
チュン参謀長の報告にヴァレンシュタイン提督が頷きました。
「哨戒部隊からの報告は?」
「異常ありません。第一、第三艦隊が至近に居る形跡は有りません」

「哨戒部隊は後方にも配置していますか?」
「配置してあります」
チュン参謀長は落ち着いています。それだけ自信が有るのでしょう。提督もそれが分かったのだと思います、微かに笑みを浮かべました。何となく嫌な予感が……。

「注意してくださいよ、第三艦隊は我々の後方に居る可能性が有ります。第一艦隊は最低でももう一度は奇襲をかけてくるでしょう。奇襲が成功すればその時点で第一艦隊に奇襲をかける……。二個艦隊が二十四時間待機になるのです。後はランテマリオを目指せば良い……」

「なるほど」
参謀長が提督の指摘に頷きました。他の司令部要員も顔を見合わせて頷いています。確かに有り得る話だと思います。私も第三艦隊がケリム星域に
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