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リリなのinボクらの太陽サーガ
過去のマイン
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のか理由は不明だが、それはそれとして体内を蝕んでいた暗黒物質を失っていったヴォルテールは徐々に動きが緩慢となっていき、先程までの血走ったような表情が次第に安らかとなっていった。

「宣言。もう大丈夫、あるべき場所に帰るといい」

そしてひとしきりヴォルテールから暗黒物質を吸い取ったネピリムが暗黒チャージを止めると、ヴォルテールは石化の残る身体を何とか動かして、この街からふらつきながらも去っていった。それは少し危うげでありながら、どことなく憑き物が落ちたかのような姿だった。

何がどうしてこうなったのか状況がよくわからないが、とりあえず戦いは終わったらしい。ホッとするキャロとフリードだが、彼が現れてからうちは全くと言っていいほど目が離せなかった。うちの視線に気付いていたネピリムは、その彼と共にこちらへ歩いてくると、「追従。こっちに来て」と伝えてきた。

他に行く当てもないため、そのまま次元港の外れの方に向かっていく二人をうちらも追い掛けていったが、その道中でキャロはうちに質問を投げかけてきた。

「あの……ザジさん。なんでさっき逃げないで、防御魔法を使ったんですか? ヴォルテールの攻撃は、高ランク魔導師が全力で張った防御魔法でさえ紙のように破ってしまいます。なのにどうして……」

「あぁ、それか。うち、唐突やけど、あることに気付いてもうたんや」

「あること?」

「石化した状態で肉体が破壊されたら治るもんも治らんのちゃうか、とな。つまり石化破壊された人間はそのまま死ぬ可能性があるって考えたら……ほら?」

周りの至る所に転がっている、石化したこの街の人間達。そしてさっきのヴォルテールの拳を喰らって崩壊した建物の瓦礫。もしこれらが一緒くたに破壊されたら、石化した人間と建物の見分けがつかなくなる。それ以前に石化した人間は壊れないし死なないなんて話は聞いたことが無い以上、万が一という可能性もあった。人間としてではなく、石として生命を終える、なんてことになったら目も当てられへんからな。

それを理解したキャロはもし里の皆が破壊されてたらと血の気が引き、しかし今は治す方法を探すのが先決だと思って、焦る気持ちをどうにか堪えていた。まぁヴォルテールの件はともかく、余程の事が無い限り大丈夫だとは思うが、心配するなというのは流石に酷やね。

とにかく事態の解決に繋がる情報を早急に得るべく、うちらはあの二人に案内されるまま、次元港の外れにあった小さなハンガーまで歩いて行った。鍵がかかっていたそのハンガーの中には外装が白く染められたロケット型シャトルが凛とした佇まいで置かれていた。

「シュレディンガー。俺が所有する小型の次元航行艦だ。アウターヘブン社にあるラプラスのレプリカで、基本性能や外装などはほぼ同じになっている」

「指
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