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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
ALO編ーフェアリィ・ダンスー
20.ヨツンヘイム
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が一気に込み上げてくる。どれだけの無茶をするんだ、なんであたしには言ってくれなかったのかという怒りの感情。先ほどの鉄剣を使ったのはどういうことなのかという驚きの感情。
だが、一番は無事でいてくれてよかったという安堵感だった。

「リーファ、シュウ!! 早く離れろ!」

キリトの声に今自分たちが置かれている状況を思い出した。目の前では邪神たちが暴れている。
リーファはシュウに肩を貸して立ち上がるとキリトがいる辺りまで移動する。
それとほぼ同時だった。巨人の断末魔のような雄叫びとともに凄まじい規模のポリゴン爆散エフェクトが発生した。
慌てて振り返ると、ひゅるるるるぅぅぅぅ……と雄叫びをあげる象水母が無数の肢を高くあげている。三面巨人の姿はもうどこにもなかった。
そしてすいすいと湖を泳ぎこちらへと向かってくる。
ずんずん、と足元を揺るがせて近づき、すぐ目の前で停止した邪神は、マジかで見るとやはり大きかった。

「……で、これから、どうすんの」

キリトが呟いた。
確かに助けようと言ったのはリーファだが、何もこの先のことは考えてはいない。眼の前にいるのは邪神級モンスターであり、一発でも攻撃を受ければ即死級のダメージを受ける。
それに加えて先ほどの戦いの疲労でシュウはクタクタだ。そんな状態では先ほどのように逃げることも難しいだろう。
しかし、普通ならば邪神級モンスターならば視界内に映ったプレイヤーに攻撃を加えてくるはずが攻撃してこないということは、このままやり過ごせるかもしれない。
そんな予想は、すぐに裏切られた。ひゅるるっと啼くと邪神はその長い鼻をまっすぐ三人に伸ばしてきた。

「げっ……」

飛び退こうとしたキリトにユイが、

「大丈夫です、パパ。この子、怒ってません」

ユイの発言に驚愕しているリーファたちを先端が細かく割れた鼻が巻き取ると勢い良く持ち上げた。

「ひえええっ」

「うわぁぁぁ」

情けない声を出すキリトとシュウ、声すら出せずにいるリーファは数十メートルの高さにまだ軽々掲げられるとそのまま背中に放り投げられた。
お尻から墜落し、予想外の柔らかさが落下先を襲う。象水母の胴体には灰色の短毛がふさふさと生えていて、その中央に三人がすっぽり座り込むと、象水母は移動を開始した。
これからどこへ連れて行かれるのだろうという不安をリーファ抱きながらも象水母はそんなのお構いなしと言わんばかりにずんずん、地面を揺らしながら進んでいくのだった。
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