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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
ALO編ーフェアリィ・ダンスー
20.ヨツンヘイム
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れる気がしてたのに……」

右腕で両眼を拭い、駆け出そうとしたその時だった───
雷鳴でも、地鳴りでもない異質な大音響が、ごく至近距離で響いた。
その形容しがたい咆哮は、間違いなく超大型モンスターの声だった。直後、ずしんという地面を揺らす足音も轟く。
先ほどの叫びのせいで邪神を引き寄せてしまった。あたしのバカ……と思いながらせめて囮になって邪神を引きつけようとダッシュしようとすると、シュウが左腕を掴み引き留めた。

「離して! あたしが敵をプルするから、キミたちはその隙に離脱を……」

隣に立つキリトとシュウが外に鋭い視線を向ける。

「いや、待った。様子が変だ」

「ヘンって、何が……」

「一匹じゃない」

耳を澄ますと、小さな声も混じっている。掴まれた腕を振りほどこうとした。

「二匹なら尚のことだわ! キミたちがどっちかにタゲられてからじゃ手遅れになっちゃう! 死んだら、またスイルベーンからやり直しなんだよ!?」

「いえ、違いますリーファさん」

ユイがキリトの肩に乗り叫ぶ。

「接近中の邪神級モンスター二匹は……互いを攻撃しているようです」

「えっ」

「とりあえず、様子を見に行こう。どうせこんな場所じゃ攻撃にも隠れるのにも不便だ」

「そ、そうだね……」

腰の愛刀に手をかけながら、シュウとキリトに続いて薄闇へと進む。
ほこらの東側に徐々に接近してくる、軽く二十メートルは超えてるであろう、青みがかった灰色の特徴が物語る邪神級のモンスターが二匹。だが、二匹の大きさには差があり、か細い小さな声の邪神の方が一回り小さい。
大型の方はぎりぎり人間のようなタイプで、縦に三つに連なった巨大な顔の横から四本の腕を早した巨人のフォルム。その全ての手には鉄骨のような巨剣が握られている。
対して、やや小さい邪神は、巨大な耳と長い口吻で顔は象のようで、後ろの胴体は円形で、それを支える二十本はあろうかという鉤爪の足。その姿は、象の頭がくっついた水母(くらげ)───だろうか。鋭い爪を繰り出して、圧し掛かる三面巨人を退けようとするのだが、暴風のように叩きつけられる四本の鉄剣に押し負け、
体をえぐり、どす黒い体液が飛び散る。

「ど……どうなってるの……」

象水母の鉤爪足が叩き切り、吹き飛んできた足がすぐ近くに落下してリーファの体を揺らした。

「お、おい、ここにいたらやばそうじゃないか……?」

隣で呟くキリトに、頷きながらも動けない。
傷口から白い雪原を黒く染める象水母の邪神から眼が離せない。巨人の鉄剣が浴び、みるみる弱々しくなっていく。

「……助けよ、シュウ君、キリト君」

シュウとキリトが驚いた顔をして、交互に二匹のモンスターを見てから、短く訊ねた。


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