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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第616話】
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えない運命全てを呪うかの様に笑う。

 ビルとビルの合間に吹き抜けるビル風――唸りを上げて耳に届く。


「さて、この位置はもうバレてるし、さっさと決めなきゃな?」

「決めるって……何をっスか……」


 フォルテは何を決めるか――何処かでわかってはいたが真意を聞きたいと思い、聞くとレインは小さく笑みを浮かべ、普段通りに――「わかってんだろ?」――と呟く。

 その言葉で迫られる選択――恋人を敵に回し、IS学園に留まるか、或いは恋人についていき、世界の全てを敵に回すか。


「なあ、裏切ろうぜ。 この世界の全て、裏切っちまおうぜ」


 恋人の甘い誘惑は思考を惑わす麻薬みたいだった、追い付かない思考、だが――フォルテの目の前のレインは何時ものように、自分だけに見せる笑顔を浮かべていた。


「ついてこい、フォルテ。 オレと一緒に、引き裂いてくれ」

「引き……裂く……?」

「そうさ。 この腐った世の中と――呪われた運命を、な」


 言ってから抱き寄せ、強引に唇を奪うレイン――フォルテはその唇の柔らかさに酔いしれる――だが、崩れ去った現実が一瞬脳裏に過り、無意識にフォルテは振り払った。

 その時フォルテは見てしまった――心が傷付いたレインの表情を、そして伏し目がちにフォルテは言う。


「ついて行けないっスよ……だって、だって……」


 其処からは言葉が出なかった、レインは自嘲気味に笑うと、フォルテの頭を撫でる。


「それならそれでいい。 じゃーな、フォルテ。 結構お前といるのは楽しかったぜ」


 寂しげに笑うレイン――それを見たフォルテの胸は一層締め付けられた。

 そして――ビルから飛び立つレインを見て、フォルテはわかってしまった、自身が選ぶ選択を――変えられない運命を、だがその運命は茨の道。

 だがフォルテは決めたのだった――世界を裏切るという選択を。
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