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強欲探偵インヴェスの事件簿
インヴェスの本性、そして悪名
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ひとつ」

「解りました……宜しくお願いします」

 大人しく引き下がるミーア。流石にギルド相手に揉め事を起こす程バカではない。

「参ったな……これじゃあ手詰まりだ」


 ギルドから出てきたハリーは、頭をガシガシと掻き毟る。こうなると自力で探すしか方法がない。

「ハリーさん……お金貸してもらえませんか?」

「まさか……インヴェスに頼む気かい?」

 コクリ、と頷くミーア。ギルドの調査に任せていては、いつ解決するか等判った物ではない。それに、その間に手遅れになっている可能性とて捨てきれない。どんなに人間的にクズだろうと、スピーディに解決するにはインヴェスを頼るしかないのだとミーアは覚悟を決めたのだ。

「はぁ……それなら仕方ない」

 ハリーは先程受け取った討伐報酬の入った革袋を丸ごと、ミーアに手渡した。

「えっ、だって、これは」

「俺の気まぐれだ。困っている可哀想な女の子に施しをしたかった……ただの自己満足だよ」

「何で……ハリーさんそんなに優しいんですかぁ!ふえええぇぇ〜ん!」

 大声で泣き出したミーアの頭を撫でてやりつつ、ハリーはミーアに丸々革袋を渡した真意を頭に浮かべていた。

『1回ゴネたからなぁ……値段交渉で間違いなくアイツなら報酬を吊り上げて来る。さて、今渡した金で足りればいいんだが……』

 インヴェスは情け容赦無い男である。相手の足下は必ず見るし、ドブに落ちて溺れている子犬がいたら、助けるどころか沈める手助けをしかねない。そういう奴である。何度も言うようだが、奴はドクズである。
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