第六章
[8]前話
「それでもね」
「馬が吐いた場所にだけというと」
「その関係で科学的な証明はね」
それはというのだ。
「はっきりとはされていないよ」
「都市伝説ですか?」
剣は紅茶を飲みつつ先生に聞いた。
「このお話は」
「そうなるね」
「そうしたものなんですね」
「うん、まあ百年前に吐いた場所に生えるとかはね」
そうした場合もだ、先生は言葉に出した。
「そんなのわからないから」
「はい、百年前になりますと」
「もうそれこそ」
「だからね」
それでというのだ。
「このことはまあね」
「特に関係のない」
「そうしたものですか」
「そうだと思うよ、あそこによく生えるのは実際のことだけれど」
農学部の馬の厩舎の傍に四つ葉のクローバーがよく生えること自体はというのだ。
「あれはあれで言い伝えがあってね」
「この学園に沢山ある」
「そう、それの一つでね」
それでというのだ。
「あそこには幸せの妖精がいるって言われているんだ」
「幸せのですか」
「この学園は多くの神秘的なお話があるけれど」
先生は怪談の類も含めてこう言ったのだ。
「その中の一つでね」
「あそこにはですか」
「幸せの妖精がいてね」
「そしてですか」
「そう、あそこには四つ葉のクローバーが多いんだ」
「そうなんですね」
「幸せの妖精が人々に幸せをプレゼントする為にね」
まさにそれが為にというのだ。
「あそこに多く用意してあるってね」
「言われてるんですか」
「そう言われてるよ」
「そうですか」
「うん、そしてね」
それでというのだ。
「君はそこで幸せを手に入れたんだね」
「妖精から貰ったんですね」
「そうなったんだ、じゃあその幸せをね」
四つ葉のクローバーを通して幸せの妖精が渡してくれたそれをというのだ。
「大事にするんだよ」
「わかりました、それじゃあ」
「うん、僕は充分に幸せだからいいけれどね」
先生はにこりと笑って剣に話した。
「君はその幸せを大事にするんだよ」
「そうさせてもらいます」
「じゃあこれからね」
晴香はここで剣ににこりと笑って述べた。
「お家に帰るまでデートしましょう」
「二人で幸せにだね」
「そうしましょう」
「そうしたらいいよ」
先生も二人に笑顔で告げた。
「四つ葉のクローバーの幸せに感謝してね」
「はい、それじゃあ今から」
「二人で楽しんできます」
二人も笑顔だった、そして先生と別れた後で二人で手を繋いで帰った。ささやかなデートを幸せな気持ちで楽しみながら。
ラッキークローバー 完
2017・3・17
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