第二章
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「さっきのことな」
「カレーのあれね」
「何ていうかな」
洋佑が言うには。
「どうでもいいよな」
「そう思うわよね、洋佑も」
「ああ、本当にな」
それこそというのだ。
「下らないな」
「それ私がお店の中で言いかけたけれど」
「実際にそうだよな」
「あそこで言って聞かれたらまずかったけれど」
「矛先がこっちに来てたな」
「けれどね」
「どっちでもいいだろ」
これが洋佑の考えだった。
「そんなのな」
「私もそう思うわ」
「何であんなに必死なんだ?」
「さあ、けれどね」
「言い合ってる人達は必死だったな」
「それで何かが決まるみたいな感じで」
「決まるとすれば何が決まるんだ?」
首を傾げさせてだ、洋佑は美稀に問うた。
「一体」
「さあ」
美稀も首を傾げさせて応えた。
「そう言われると私もね」
「わからないよな」
「カレーはカレーでしょ」
美稀の考えであるが洋佑も同じ考えだ。
「結局は」
「そうだよな」
「カレーライスでもライスカレーでもね」
「同じだよ」
「お料理自体は同じね」
「カレールーと御飯でな」
この二つから成り立ってというのだ。
「味も同じだよ」
「カレー自体の味はそれぞれ違っても」
「どっちの名前でもな」
カレーライス、ライスカレーどちらでもというのだ。
「結局同じ味だ」
「それで何であんなに言い合ってたのかしら」
「それも若い兄ちゃんも姉ちゃんもおっさんおばさんもいて」
「お爺ちゃんお婆ちゃんもね」
「老若男女で言い合ってな」
「何だったのよ」
「本当にわからないな」
洋佑はまた首を傾げさせて言った。
「あれは」
「挙句にお店の人から追い出されて」
「変な話だよ」
「全くね、またあのお店に行ったらあんな話をしてるのかしら」
「どうだろうな」
「美味しいお店だからまた行きたいけれど」
「あんな話をしていたらな」
店の中でというのだ。
「嫌だな」
「そうよね」
二人でこんな話をしながら店を出た後商店街を歩いていた、そして。
やはり美味かったのでまた二人でその店に行った、するとだ。
店のところにこんなことが書かれていた。
『当店では他のお客様の迷惑になる様な言い合いはお断りしています』
つまりカレーライスかライスカレーかとかいう議論はするなというのだ、その書かれている言葉を見てだった。洋佑はまた美稀に言った。
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