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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十三話 第一特設艦隊
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る際には指揮性能を上げるため急遽改造したらしいがそれでも一万数千隻の指揮は無理だったらしい。

結局第十三艦隊はヒューベリオン単艦による第十三艦隊全体の統括指揮は不可能だったため、分艦隊の機能を強化する事で対応したと読んだことが有る。普通はそんな事をしたら艦隊運用に置いてはマイナスどころか致命的な欠点になるんだが、そのあたりがヤンの凄い所だよな、フィッシャーの艦隊運用能力、アッテンボローの戦術指揮能力にも助けられたんだろうが破綻することなく同盟軍最強の艦隊としてあり続けた。当然だが旗艦であるヒューベリオンも帝国軍にとっては畏怖すべき存在だった……。

俺には無理だ、そんなことは出来ない。おまけにこの艦隊の分艦隊司令官がどこまで信用できるかはなはだ心もとない……。見栄を張っても仕方ないからな、喜んでパトロクロス級を使わせてもらう。一応改造をしてもらった。指揮性能を上げるためだがアンテナを増設してもらったのだ。旗艦に必要なのは最後まで生き残って指揮を執り続ける事だ。

さて、そろそろ幹部連中を集めて会議を行うとするか……。やらなければならない事はたくさんある。最近勝利続きで浮かれている連中が多いがそんな暇は無いのだ。連中にもそれを徹底しないと……。



宇宙暦 795年 7月 15日  ハイネセン  宇宙艦隊司令部  オーブリー・コクラン



会議室にはコの字型に机が並べられていた。正面に有るヴァレンシュタイン司令官とミハマ中佐の席を除いて第一特設艦隊の幹部が向かい合わせに座っている。皆、緊張しているのだろう、表情が硬い。

七月五日、今回の人事が発令された。それ以前から第一特設艦隊の準備は出来ていたのだろう。十二日には編成を終えた艦隊がハイネセンに集結し最終的な補給及び乗員の乗り組みを待つばかりになっている。

補給作業は順調に進んでいる。後方勤務本部のセレブレッゼ大将が何かと便宜を図ってくれるのだ。大将はヴァンフリートの戦いでヴァレンシュタイン中将と共に戦った、言わば戦友だ。中将を高く評価しているし、信頼もしている。そして中将の艦隊司令官就任をとても喜んでいる。

艦隊の幹部が全員揃うのはこれが二度目だ。最初は人事が発令された翌日、七月六日に召集された。その場では簡単な自己紹介と今後のスケジュールについて説明が有った。七月十日前後に艦隊がハイネセンに集結する事、その後は第一、第三艦隊とともに訓練を行う事、訓練計画はヴァレンシュタイン中将がワイドボーン中将、ヤン中将とともに作成する事……。

誰かが溜息を吐く音が聞こえた。見渡すと分艦隊司令官、ホーランド少将が溜息を吐いている。皆の視線が自分に集中したのが分かったのだろう、多少バツが悪そうな表情をした。

「いや、司令官閣下がなかなか来られないのでな」
「集
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