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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十三話 第一特設艦隊
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は化け物か? 母さんが泣いてるよ、私の可愛いエーリッヒがって。
ローゼンリッターだがシェーンコップが自分で売り込んできた。こいつは准将になったのだから何処かの旅団長になってもおかしくないのだが例の軍法会議での態度が悪かったのが影響したのか連隊長のままだ。周囲も腫れものを扱うような調子で遇するため本人も面白くないのだろう。
俺の見るところこの男は軍人という職業が嫌いなのではない、自分を十二分に使ってくれる人間がいないのが不満なのだ。ついでに言えば自分の予測を超える事をしてくれる上官を望んでいる。驚かせてもらってその実現のために自分の能力を使う、そんなところだな。
“艦隊司令官になった以上、陸戦隊が必要でしょう。我々を使ってくれませんか、閣下を失望させるような事は無いと保証します”
“私のところに来ると亡命者が集まって何を企むかと皆が心配しますよ。ローゼンリッターにとっては後々困った事になりませんか”
“ヴァンフリート、イゼルローン……、我々は閣下に大きな借りが有りますからな、それを返したいんです”
“帝国軍は私を目の敵にして斃しに来る。巻き添えを食う事は無い……”
“それも良いでしょう、所詮人生は一度です。納得できる生き方、死に方ができるか……。貴方なら最高の舞台を用意してくれそうだ”
馬鹿に付ける薬は無いよな、配属を願う馬鹿とそれを受け入れる馬鹿、本当にそう思う、何で受け入れたんだろう。シトレにローゼンリッターの配属を頼むと直ぐに配属が決まった。上層部も連中の処遇には頭を痛めていたようだ。これ幸い、そんなところだな。
多分他にも同盟中の厄介者を第一特設艦隊に集めたのだろう、ポプランだのコーネフなんて言う名前も有ったからな。全部まとめて俺に押し付ける気に違いない。派手に戦死者を出しても何処からも苦情は出なさそうだ、やれやれ。
俺の乗艦だが戦艦ハトホルと決まった、パトロクロス級の一隻だ。ハトホルというのはエジプト神話に出てくる愛と美の女神で喜びの女主人とか呼ばれている。血腥い野郎とか化け物の名前なんてまっぴらだからな、俺はハトホルに十分に満足している。
もう少し後ならトリグラフ級というのも有っただろうが俺自身はパトロクロス級で問題は無い。というよりトリグラフ級は嫌だ。全幅二百十メートルって何だよ、パトロクロス級の三倍は有る。軍港には係留し辛いとか何でそんな艦造ったんだか、さっぱりわからん。同盟も末期で造艦技術者も頭がおかしくなっていたんだろうとしか思えない。
本当はヒューベリオン級が欲しかったが、あれは俺には使いこなせないからな、諦めるしかない……。ヒューベリオン級は一世代前の旧式艦だ。精々数千隻程度の艦隊しか指揮統率できないという欠点を持っている。半個艦隊とはいえ制式艦隊である第十三艦隊の旗艦に就役す
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