SAO:tr1―双子の兄妹―
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」
「おかしいだろうよ、なんせバグってんだもんよ」
「うん、それは間違いない。でも……」
自分で振っておいて、この先の事をクラインに告げていいのだろうかと余計な心配をしてしまい、思わず渋ってしまった。
「キリカの言った通り、おかしいんだよ。ログアウトができないなんて、今後のゲーム運営にかかわる大問題だよ。現に俺達は現実世界へ戻る事ができなくなっている。クラインの様に一人暮らしだったら、直るまでずっとこのままだろ。この状況なら、運営サイドは一度サーバーを停止させて、プレイヤーを全員強制ログアウト、その後にメンテナンスを行うのが当然の措置なんだ。それなのに切断されるどころか、アナウンスすらないなんて……」
「……言われてみりゃ、確かにな」
そうだ。兄が口にした通り、普通はそうするべきなんだ。
兄は言わなかったけど、この状況は監禁に等しい。私達三人……いや、他のプレイヤーも同じバグがあるとすれば、最高で一万人のプレイヤーがソードアート・オンラインという世界に閉じ込められている。
その事実に運営からの声は全くない。何度もGMコールをしても反応はないし、対処法も置かせてくれない。
そう、ゲームに監禁されている状況にも関わらず、運営からは何もない。
なんだろう……嫌な予感がする。なんとも言えない悪寒…………心なしか背筋辺りが妙に冷えていて、気持ち悪い。
「どうしたキリカ?」
私が不安になっているのを見抜いたのか、兄が声をかける。と思ったら、私が無意識に兄の袖をギュッと掴んでいた事に気がついたみたいだ。
いけないいけない、またやっちゃった……。
「あ、えっと、その……と、とりあえずここにいてもなんだしさ、ちょっと情報取集しない? 一旦『はじまりの街』に戻って他のプレイヤーもバグがあるのかどうか聞いてみようよ」
兄に変に心配されたくないがために慌ててしまうもなんとか落ち着いて提案を出してみる。
その直後。私が感じてしまった恐怖を露わになり始める、音が鳴り響いた。
その音はリンゴーン、リンゴーンと鐘の様な音が大きく鳴り響くだった。でも私は大ボリュームのせいもあるのか、警報音の様に聞こえてしまい、それが一段と恐怖を覚えてしまう。
そしてそれが何なのか、言葉にすることもなく、私達の体は鮮やかな青い光に包まれていく。
青い膜の先にある草原の風景がみるみるうちに白く塗り潰され、視界が奪われていった。
それがなんなのかわからないまま、次の瞬間に視界がクリアになっていく。
だけど目に見える先は、夕陽が沈み夜へと変わりゆく幻想的な光景だったものが、中世風な街並みの一部へと変わっていた。
ここはそうだ。私が……いや、皆のゲームのスタート地点となる『はじまりの街』の中央広場だった。
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