SAO:tr1―双子の兄妹―
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たたいた。
「そうだ! 『ナーヴギア』の電源を切れば脱出できるし、それができなくても頭から引っぺ剥がせばいいんだ!」
クラインはさっそく『ナーヴギア』を剥がす様に両手で頭を押さえつけ、離そうとする。
しかし、私達から見れば……。
「頭を押さえつけて上に伸ばそうとしている奇妙な光景しか見えないんだけど……」
「奇妙な光景ってなんだよ、こっちは真剣にやっているんだよ! くっそ、なんとかでねぇのか!」
「それもできないよ。俺達は今、現実の自分を動かす事ができないんだ。『ナーヴギア』が俺達の脳から体に出力される命令を全部ここで遮断している」
兄はで後頭部の下の部分にある延髄を指しながら告げる。
「それだと派手に動いても現実の自分が怪我をする事はないんだね」
「そうだ。けど今はその機能故に、ギアを外す事はできない」
安全面を考慮した結果は良いのかしれないけど、今はそれ以前に現実の自分を動かしてログアウトする事ができない。
「結局、今はログアウトできず、現実の自分に戻るためは運営になんとかしてもらうか、バグが直るまで待つか、現実にいる誰かにギアを外してもらうしかないって事なのね」
「そういう事になるな……」
兄も流石に冗談じゃねぇみたいな顔で深いため息をついた。
「でも俺、一人暮らしだぜ。おめぇらはどうなんだ?」
「兄が一人と妹が一人、あと……母親が一人。父親もいるけど、今は四人暮らし」
「なに!? キリカの妹さんっていくつだ!?」
クラインは急に眼を輝かせて私の量型を両手で掴みかかってきた
「は、はぁ!? そんな事言うわけないでしょ! つうか近いってば、こら!」
私は力いっぱいクラインを押し戻した。
「ちぇっ……で、キリトはどうなんだよ」
クラインの質問に兄は先ほどの私とのやり取りを見たのか、少し躊躇うもちゃんと答えてくれた。
「妹が二人、キリカと同じ父親はいるけど、今は母親と含めて計四人。だから晩飯の時間になっても」
「おおぉ!? き、キリトの妹さんっていくごほっ!?」
再びクラインは目を輝かせ、キリトを掴みかかろうとする。けど、兄は私とのやり取りを見ていたので、掴まれる前に蹴り飛ばしていた。
草原に寝転がっているクラインはすぐさま立ち上がって、キリトに文句をぶつけた。
「おい、キリト! いきなり蹴り飛ばすとはどういう事だ!」
「この状況でそんな事を聞くか普通」
「こういう状況だからこそだな」
なんか変に追及される前に無理矢理話をバッサリ切るか。
「というかさ……普通に考えてさ、深刻な問題になっているんだよね」
「深刻な問題? そりゃあ、そうだろう。ログアウトできねぇんだから」
「……おかしいと思わない?
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