SAO:tr1―双子の兄妹―
[7/22]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ログアウトボタンが存在していなかった。
流石に兄もクラインが単に不注意なだけではないと思ったのか、確認し始める。私も見間違いなだけかもしれないと思って、ウインドウを一度閉じてもう一度開く。
そして一番下を凝視するものの、そこにはログアウトボタンは存在しなかった。
「……確かにないな」
兄も自分のメニューにログアウトボタンが存在しないことを確認できた。
「ま、今日は正式サービス初日だかんな、こういうバグも出るだろ。今頃GMコールが殺到して、運営は半泣きの真っ青だな」
暢気に言うクラインに対して、私は笑みを浮かべてツッコんだ。
「そういうクラインも、もうすぐ半泣きになるんじゃないの?」
「え?」
「もうすぐ五時半」
「えっ?」
クラインは慌てて時刻を確認。
現在時刻は五時二十五分。後五分でピザが配達されるはずだ。
「このままだとピザは食べられないね」
「うおっ、そうだった!! やべぇ! このままじゃ俺様のアンチョビピッツァとジンジャエールがぁー!」
事実に気づいてしまったクラインは目を丸くして飛び上がっては喚いてしまった。その光景に思わず口を緩めてしまう。
「おい、キリトォ……こんな時どうすればいいんだ?」
「いや、まずGMコールしてみろよ。システム側が落としてくれるはずだよ」
「それはもうとっくに試したんだけど、反応がねぇんだよ……」
……反応がない?
私はそこで違和感を覚えてしまった。
「ねぇ、キリト。他の方法でログアウトする方法ってないの?」
私は兄に訊ねると、急に顔を強張らせる。
「他にログアウトする方法は…………いや、ない。メニューを操作する方法しかない」
「んなバカな、ぜってぇ何かあるって! 戻れ! ログアウト! 脱出! 開けゴマ!」
兄の返答に拒否する様にクラインはぴょんぴょんと跳ねたり、なんかへんなポーズを取ったりしてログアウトを試みる。
だが、同然何も起こらない。
「……それでログアウトできたら、それはそれで駄目でしょ。その方法だと例えば戦闘中、誤作動でログアウトしちゃうんじゃないの?」
「けどよ、普通に考えてみろよ。ログアウトできないって事は自分の部屋、自分の体に戻れねぇって事なんだぜ。こういう時の緊急切断方法ぐらいあるだろ!」
「残念だけどクライン、マニュアルには他の方法でログアウトする方法は乗っていないし、緊急切断方法もないんだ」
クラインの切望な叫びに、兄は落ち着いた口調で返した。でもきっと内心は不穏だろう。
ログアウトできないこの状況は、不安でしかない。クラインが言った通り、このままでは現実にいる自分に戻れないんだから。
そんな中、クラインは何かを思いついたようにポンと手を手で
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ