SAO:tr1―双子の兄妹―
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ライン。あと、ありがとう」
兄が謝ると、クラインは驚きながらもぶんぶんと左右に手を振った。
「おいおい、謝る必要ないだろ? つか、礼を言うのはこっちの台詞だぜ。おめぇのおかげですっげ助かったし、楽しかったしよ。この礼はそのうちちゃんとすっからな、精神的に」
にかっと笑ってクラインは兄の肩をポンっと叩いた。
……兄がクラインと出会って良かったと私は心の底から思えた。
「じゃあ、僕からもお礼を言わせてよ、ありがとうクライン」
「なんでキリカまで俺にお礼を言うんだよ。おめぇにも感謝しているから」
「なら、お互いさまってことで」
私は右手をグーにして前に出すと、クラインも同様に右手をグーにして私の手にごつんとぶつけてくれた。
「んじゃ、マジサンキューなキリト。これからもよろしく頼むぜ」
クラインは兄の前に右手を出す。私の時とは違って、グーではなくパーだった。
「こっちこそ、よろしくな。また訊きたいことがあったら、いつでも呼んでくれよ」
「おう、頼りにしているぜ」
兄はクラインと握手をした。
クラインはこの後、ログアウトして現実世界へと戻る。
でも永遠に会えないわけじゃない。ソードアート・オンラインにフルダイブする限り、私達はどこでも会える気がするんだ。
私にとって、アイングラッド……あるいはソードアート・オンラインという名の世界という場は、誰もが子供の様にゲームをする未知のゲームであったのは、この瞬間までだった気がした。
「クラインはログアウトするけど、私はもうちょっとやりたいから付き合ってほしな」
「お前だったらすぐ慣れそうだけどな」
クラインがログアウトするのはわかったし、私は兄を引き連れて『フレンジーボア』を探そうとした時だった。
「あれっ?」
クラインのトンチンカンな声に振り向く。
「なんだこりゃ…………ログアウトボタンがねぇ」
その一言に私と兄はクラインの傍に寄った。
「ログアウトボタンがないって……まさかわからないの? メニューの一番下だよ、下」
「だから、そこにあるボタンがねぇんだよ。おめぇらもよく見ろって」
「んなわけないだろ……」
兄はため息混じりに呟く。
とはいえ、クラインが焦っているのは演技ではなさそうだし、ログアウト場所がわかりにくいところにあるわけでもない、はず。
…………とりあえず試してみるか。
私は右手の人差し指と中指を揃えて真下に振ると。メインメニューのウインドウを出現させる。その中から私は一番下に指先を滑らせる。
そこで私は必然と全身の動きを止めてしまう。
「兄っ……じゃなくてキリト! 僕のところにもない!」
「え?」
クラインの言う通り、私にも
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